Detective Conan


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catch me if you can


35


「ちょっと!どういうことなの!?」


玄関を開けに行った工藤さんは1人の女性と共に戻ってきた。


「だからオメーの手が必要だって言ってんだろ!?」
「それだけじゃわからないって言ってるの!何があったかくらい先に言いなさいよ!」


工藤さんと一緒に出てきた女性は私を見て一瞬驚いた顔をしたが、トランクの中を見て今何が起こっているのか察したようだった。


「とにかく彼を中に運びましょう。あなたも手伝って」


女性の指示で怪我をし意識が朦朧としているキッドをトランクから下ろし、家の中に連れて行った。
ちょうどいい台がないからと、室内にあるテーブルの上にさっと毛布をかけてその上にキッドを寝かせた。


「弾が残っている可能性がある。取り出してほしい」
「無理に決まってるでしょ!いくらある程度の機材が揃ってるからって、私は医者じゃないのよ!?それに出血量が多すぎるわ!病院に連れて行きなさい!」
「血ならどうにかなる。コイツはB型だ。降谷さんに言って、」
「それじゃ遅いわよ!あの人が着くまで待ってるわけにはいかないでしょ!?」
「なら私の血を使ってください」


2人の会話を黙って一通り聞いていた私の提案に、2人とも驚いた顔をした。


「いいのか!?」
「はい。同じ血液型です。使ってください」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」


すでに乗り気の工藤さんと私に対して、静止の声がかかった。


「あなたね、自分が言ってることがわかってるの!?この人を助けるってことは、」
「例え、」
「え?」
「例え彼が誰であれ、血を流して倒れている人間を切り捨てられるほど冷徹にはなれません」


私のその言葉に


「決まりだな。宮野!頼んだぞ!」
「…あなたも大概ね。いいわ、出来ることはしてあげる。これから言うものを用意してちょうだい。まず、」


大きく1つ頷いた工藤さんに対し、宮野さんと呼ばれた女性は呆れた顔した。
…そうか、この人が以前工藤さんが言っていた相棒だ。


「じゃああなたはここに座って」


この部屋にベッドはないから、と椅子に座って血を抜かれる私の側に、青白い顔をして横たわっている彼の姿があった。


「七海さん、本当に助かりました」


採血を終えた私は、キッドの処置が終わるまで少し外の空気を吸うことにした。
外に出て玄関前の階段に腰を下ろしているところだった。


「ここは何なんです?」


私の後を追ってきた工藤さんにそう尋ねた。


「ここは元はとある組織の隠れ家だった場所で、その組織が解体された時に空き家になった場所です。そのまま取り壊しても良かったんだけど、置かれてる機材だけは最新の物だったからもったいねぇなと思って、当時公安警察にここの保存を提案したら、そのまま了承されて、こういう緊急事態の時に使わせてもらってる、ってわけです!」


工藤さんは私の隣に座りそう話した。


「待ってください」
「うん?」
「…ここ、公安の持ち物だったんですか?」
「あ、」


私の質問に工藤さんはヤベって呟いた。


「これ内緒にしてくれると助かります」
「…あなたはキッドだけじゃなく、公安とも繋がっているんですね…」
「それなんだけど、」
「はい?」
「よくここまで何も聞かずに着いてきてくれましたね」


隣に座る工藤さんは、それで助かったけど、と、なんとも言えない表情で言った。


「あのメッセージの段階で盗聴やハッキングを警戒しているんだと思ったので。つまり車内も対象だって十分考えられますから」


私の言葉に、


「七海さんを選んだ俺の目に間違いはなかったってわけだ!」


工藤さんは今日初めて笑顔を見せた。



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bkm

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