Detective Conan


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catch me if you can


33


快斗さんの怪我が完全に完治するまでの間、世間から怪盗キッドの話題が消えていた。
少しの疑惑はあっても、自分からそのことに深く触れるつもりはなかった私がその事に気づくことはなかった。
後になってこの時のことを思うと、私が気づくことはなかったのではなく、気づかないように見ないふりをしていた、というのが正しいかもしれない時期だったと思う。


「佐藤、鈴村。この前のAN企業の、」


捜査二課は本来強盗は担当しない。
その窃盗額が桁外れな怪盗キッドを除いては。
つまりそれはキッドが仕事をしなければ、私たちも通常業務に戻るということで。
今日も今日とて、己が信念の名の元に邁進していた。
そんなある日の夜のことだった。
今しがた起きた組織的犯罪の可能性のある殺人事件により、捜査一課でこれから大規模検問を行うことなると鈴村さんから連絡が入った。
私たち二課からも今夜の当番の人間数名がヘルプに向かうけど、場合によっては追加で私も向かうことになるからという事前連絡あった。
検問箇所の地図も送られてきたため、いつ呼び出しがあっても良いように、その地図をチェックし終えた時だった。
メッセージを受信する音が鳴り響き開いてみると、


手を貸してください


と言う一文と共に、丸い印がつけられている地図の写真が工藤さんから送られてきた。
…これはここに来いと言うことだろう。
一体何があってどうして呼び出されているのかわからないけど、彼と私の間柄でこういう切羽詰まったようなメッセージが送られてくることはほぼないように思う。
ならばそれはつまり、今がそれだけの困難に立たされていると言うことで。
そして恐らく電話ではなく、メッセージを寄越してきたのは盗聴対策の可能性がある。
大規模検問のこともあるし、十分考えられる手段だ。


わかりました


工藤さんにそれだけ送った直後に、先ほどの地図も工藤さん側から消されたのがわかった。
…つまり、盗聴+でハッキングの可能性にも警戒しているということだ。
呼び出された現場がどういう状況なのかわからないが、動きやすい格好で家から飛び出した。


「七海さん!こっちです!」


指定された雑居ビルの路地裏付近に着くとすぐに工藤さんが声をかけてきた。


「工藤さん、何があったんですか?」


私の言葉は至極当然の一言だったと思う。
それに対して、


「何があっても、叫ばないと約束してください」


工藤さんは人差し指を口に添えてそう言ってきた。
…よく見たら工藤さんの手や服についているのは血ではないだろうか?
状況は把握できないものの、危機的状況なことだけは伝わった私は大きく1つ頷くことで答えた。


「こっちです。…おい!大丈夫か!?助っ人連れて来たぞ!」


工藤さんが言葉を投げかけた先にいたのは、


「テ、メェ…何で呼びやがった…!」


純白の衣装を真紅の血で染めた怪盗キッドだった。



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bkm

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