Detective Conan


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catch me if you can


9


「佐藤さん、お疲れ様です」
「え?…あぁ、工藤さん、どーもお疲れ様です」


先日の毛利蘭との因縁とでも言うべき関係を知ってから、工藤さんは私にわりと話しかけてくるようになった。
…のだけど、


「…奥さん、お元気ですか?」
「えぇ!佐藤さんの話をしたら自分も会いたいと、」
「…ソーデスカ」


全く会話が弾まない気がするのは気のせいではないはずだ。
別に仕事場に友人を作りにきているわけではないので、話が弾まなくとも何ら不便ではないけど、こうも話しかけられてくると正直居た堪れない。


「佐藤さんも見ます?ここの見取り図」


そしてキッドの犯行予告当日。
協力者として来ている工藤さんが見取り図片手に話しかけてきた。


「いえ。頭の中に入っています」
「へー。…警部の話だとキッドはえぇーっと、ここ!ここを逃走経路に使うって言ってますけど、」
「それはないですね」
「え?」
「怪盗1412号の過去の資料を読み漁り、彼の行動パターンを私なりに分析しましたが警部の仰る経路は簡易なトラップである可能性の方が高いです」


間近で工藤さんを見ると、やっぱり快斗さんに似てるなぁ…と思う。


「と、なると、」
「怪盗1412号の行動パターンを分析した結果、最も逃走経路としての確立が高いのは」
「「館内北側にある通路B」」


そんなこと思いながら話していたら、工藤さんと声がハモってしまい、本当に驚いた。


「…捜査二課きっての頭脳派と言われる佐藤さん。俺と同じ推理です」
「あ、い、いえ…、恐縮です…」


名探偵として広く知られている眠りの小五郎が以前大きな事件に巻き込まれ怪我をしてから「眠りっぱなしの小五郎」と揶揄されるくらい推理が鳴かず飛ばずになった。
当時はその事件で頭を打った後遺症では…と囁かれていた。
そして時同じくして、一切の消息を絶っていた高校生探偵、工藤新一が表舞台に帰ってきた、と言うことで名探偵の世代交代と言われるほど世間では、特に警視庁内部での信頼度は工藤さんに重きを置くようになった。
…とは言っても、眠りの小五郎はその人柄か、推理よりも彼の人情に触れたい根強いファンからの支持が絶えず、今だ人気のある探偵ではあるけど…。
その毛利小五郎と変わって現れた現代のシャーロックホームズとまで謳われる人と同じ推理とは驚き反面、嬉しくもあった。


「工藤さんは本来捜査一課、強行犯や殺人を主にされている探偵と伺っていますが、トータル窃盗額が桁外れだからキッドを追うんですか?」
「え?…あー、まぁ確かにただのこそ泥にしては額が飛びぬけてますね。…でもそれだけじゃないんです」
「と、言うと?」
「並々ならぬ因縁、とでも言っておきましょうか」


工藤さんは、人差し指を立てて笑いながら言った。
…つまりそれは、それ以上聞くな、とも取れるわけで…。


「因縁、決着つくといいですね」
「そうですね」

そう答えるに止まった。


「あぁ、そうだ」
「はい?」
「俺と似てるんですよね?佐藤さんの知り合いのマジシャン」


工藤さんは不意に快斗さんの話を振って来た。


「それが何か?」
「じゃあその彼も似てるってことですよ」
「…誰に?」
「怪盗キッドに」
「え…」


この時、私は初めて怪盗1412号の素顔の情報を耳にした。

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bkm

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