Attack On Titan


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ゴロツキ純愛ラプソディ


7


リヴァイとエリザの関係が変わったのは、それからすぐのことだった。
変えたのは俺。
…と、言いたいところだが、


「あ!あっにきーー!!」


妥当と言えば妥当。
エリザといる時にリヴァイを見つけたイザベルがエリザを伴いリヴァイの元にやってきたからだった。


「…どうした、イザベル。」
「兄貴にはまだちゃんと紹介してなかっただろ?俺と同じ部屋のエリザだ!」


このイザベルの言動にリヴァイがどう思ったのかと顔色を伺うが、


「…そうか、リヴァイだ。」


至って普通だった(のか、内心焦ってるのかその表情からはわからなかった)


「エリザです。…怪我、その後どうですか?」
「あ?」


ただ意外だったのが、救護班で多くの兵士を見ているであろうエリザが、そのうちの1人に過ぎなかったリヴァイのことを覚えていたことだ。


「後日検診に来なかったので、」
「あぁ…、問題ない。」


リヴァイのこの返答に、お前もっと話広げろよ!広げる努力しろよ!せっかく話せたのに会話続かねぇだろ!!って叫び出したくなったのは仕方ないことだと思う。


「いや全然問題なくないから診てやってくれる?」


俺なんでこんな思春期の弟を援護するようなこと言わなきゃなんねぇんだよ、なんて思いながらも、もうここまで来たらお膳立てはしてやるからとにかく「顔見知り」から「知人」に自力で昇格させろ、なんて思いながら口を開いた。


「問題なくない?」
「ファーラン、お前何言ってる?」


俺の言葉に食いついて来たエリザとリヴァイ。


「いや、お前1度診てもらえって。」
「どこか心配なところがあるんですか?」
「別にない。」
「お前ねぇ…。」
「エリザ!」


あぁもうコイツどうしてくれよう、って思った時、救護班にいた気がする兵士がエリザを呼びに来た。
エリザは俺たちに一礼して、その兵士と共に去って行った。


「おい、リヴァイ。お前なぁ、」
「ファーラン、お前は何がしたいんだ?」
「何が?何がって言ったか?俺はなぁ、」
「まぁまぁまぁ!」


俺とリヴァイが言い合いになる寸前のところでイザベルが間に入ってきた。
瞬間、嫌な予感がした。


「仕方ねぇよ兄貴。ファーランてばエリザが好きなんだぜ!」


そして見事、その予感が的中した…。


「………」


この沈黙の間、何があったかと言うと、リヴァイが間に入ってきたイザベルを一瞥し、そしてそのままその視線を斜め上、つまり俺の方に向け……どう贔屓目で見ても俺を睨んで来た。


「………」


次の沈黙の間、 何があったかと言うと、今にも喧嘩ふっかけてきそうなリヴァイに若干涙目になりながら首を横に振ることでしか返事が出来なかった。
…ところ、


「おっかしーなぁ、って思ったんだよ!ファーランて、やたらと俺とエリザがいる時に話しかけてくるからさぁ!!」
「おい、馬鹿。お前もう喋るな。」


イザベルが止めを刺すようなことを言ってきた。
そっちに目を向けなくてもわかる。
斜め下からすっげぇ睨んできてる…。


「バカって言ったな!?ファーランのくせに!!バカって言った!!」
「黙れ、馬鹿。」
「なんだと!?せっかく今度エリザと飲みに行くから誘ってやろうと思ったのに誘わねぇからな!?」


斜め下からの刺すような視線を受けつつこの馬鹿どうしてくれようと思っていたら、馬鹿が爆弾発言をしてきやがった。


「なんだって?」
「はっ!今さら謝ってももう遅ぇよー、だ!ファーランなんか誘ってやんねぇ!」
「おい!リヴァイを連れて行け!!」
「「あ?」」


俺の一言にイザベルとリヴァイが同時に声をあげた。


「おい、ファーラン。」
「なんで?なんで兄貴?」
「だからー!俺じゃなくてエリザを好きなのはリヴァイだ、って言ってるんだ!」
「「………」」


イザベルとリヴァイの間に訪れた沈黙は、先ほどの物とは大違いだと思う。


「は?え?えっ!?兄貴マジでっ!!?」
「……誰もそんなこと一言も言っていない。」


形成逆転。
イザベルに問われたリヴァイは、眉間にシワを寄せながら、あらぬ方向に目を向けた後、そのまま去って行った。


「なぁ、マジで?マジで兄貴がエリザ好きなのか?」
「あ?あぁ。ほら、リヴァイが怪我した遠征の時に救護班のテント行っただろ?その時に…一目惚れ、ってわけじゃあねぇ気もするが、そんなようなものを起こしたらしい。」


去って行ったリヴァイの背中を見ながら語る俺の言葉に、


「兄貴って、」
「うん?」
「『仲間』以外で人好きになれたんだな…。」


なんとも阿呆な意見を繰り出した。


「そりゃあ、まぁ…なるんじゃねぇの?」
「その相手がエリザ…。」


あれ?コイツもしかしてリヴァイのこと「兄貴」としてじゃなく「男」として見てた?なんて焦ったのも束の間。


「…へへっ!そっか、兄貴がね!」


イザベルはそういうことじゃなく、「仲間」として「家族」として、リヴァイを見ているんだろうと言う顔で、本当に嬉しそうに笑っていた。



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bkm

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