■ 11
「て、本人が言ってたけど…。」
イザベルが何かを悩んでいるようで、妙に動きがおかしかった。
馬鹿も馬鹿なりに何かあるんだろうと思っていたが、さすがに長期化してる気がして、1人の時に問い詰めたらエリザの身の上のことを話し出した。
「あんま、人にベラベラ喋るようなことじゃねぇし…。」
どうしたものかとここ最近悩んでいたらしい。
…コイツほんっと、
「馬鹿だな、お前。」
頭悪いと思う。
「な、なんだよそれ!俺は俺なりに、」
「エリザが怒った時の状況を分析すりゃ、原因の推測くらい出来るっての!」
「え、じ、じゃあ兄貴は、」
「…リヴァイも『その可能性』が1番高いって、理解してる。」
俺の言葉に、
「そ、そうなのかよ…!!」
まさに、俺ショック受けてます!と言う顔で見てくるイザベル。
…ほんと馬鹿だな。
「今はそれを踏まえた上で…、どうしたもんか、ってところだろうが。」
「そ、そうなのか…。」
けどまぁ、イザベルのお陰で詳細を聞けたのは良かった。
本人自体が売られたわけじゃねぇならまだ救いはあるだろう。
…最も、本人自体が売られてたら、今ここにいねぇだろうがな…。
「あ、兄貴はなんて?」
「ん?んー…、まぁ、いつも通り無表情で眉間に皺寄せてるだけだな。」
リヴァイは謝りに行くわけでもなく、キレているわけでもなく…。
本当に今までと変わりなく、訓練に励んでいた…。
「なぁ…。」
「あ?」
「エリザはさ、兄貴に謝るって言ってくれたけど…、ファーランはどうなると思う?」
俺の顔色を伺うように聞いてくるイザベル。
…まぁ、コイツもコイツで大好きな「兄貴」と初めて出来た「友達」の間でいろいろ考えることはあるんだろうな…。
「さぁ?」
「さぁ、って!」
「だってこればっかりは俺たちがどうこうする方が逆に拗れそうじゃねぇ?」
「…うーん…」
俺の言葉に納得したのかしてないのか。
イザベルは腕を組みながら唸り出した。
…まぁ、気持ちはわからんでもない。
でも本当に、こればっかりは俺たちがどうこうする、って部分じゃねぇし…。
なんて思っていた時、リヴァイが訓練中に怪我をし、救護班の世話になることになった。
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bkm