Attack On Titan


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ゴロツキ純愛ラプソディ


9


「おい、お前何やってんだよ!」
「起こったことをいつまでも煩ぇな…。俺が他人を怒らせるのは日常茶飯事だろ。」


想定外のことが起こった。
本人も認めてるようにリヴァイが誰かを怒らせるのは日常茶飯事だ。
だけどまさかあの酒の席でエリザを怒らせることになるとは誰が予想した?


「少し冷静に考えようぜ。」
「あ?」


あまりに他人事な態度を取っているリヴァイに、逆に(何故か)俺が焦り始めていた。
それを一蹴するためにも、状況を冷静に分析しようと思った。


「お前が髪のことに触れたら、あからさまに怒ったわけだろ?」
「…まぁ、そうだな。」
「エリザの髪は壁内でも珍しい白に近い金髪。売れば高値がつくだろうな。」
「…」
「お前、どう思う?」


俺の言葉にリヴァイは床に視線を落としながら、


「売られたんだろう。髪だけか、本人そのものかはわからんが。」


そう答えた。


「俺も同意見だ。」


リヴァイの考えはほぼ間違いないだろう。
俺も本でしか読んだことがないが、この世にはアルビノと言う生まれながらに色素の薄い人間がいるらしい。
髪も白に「近い」どころか白髪で、瞳の色も赤いと言うから本当にそんな人間いるのか疑わしいと思ったことがある。
エリザのそれはアルビノと言うほどではないが、白に近い金の髪。
瞳の色も青かと思いきや、よく見たら紫に近い青色をしていた。


「もし、」
「あ?」
「あそこでエリザがキレて立ち去らなかったら何言うつもりだったんだ?」


人と違うと言うことは、それだけ人の目につき危険が伴う。
その危険が、過去エリザの身に起きたのかもしれない。


「俺は、」


それは地下街で生きてきた俺たちには「どんなことが起こったのか」容易に想像がついた。


「初めて見た時、死神かと思った。」
「………お前それ言わなくて良かったな。」


通らなかった過去のIF話をしても仕方がないが、出た結論の後味の悪さを打ち消そうとして振った話題で、リヴァイが口にした言葉にガクンと、肩が落ちた気がするのは気のせいじゃないだろう。


「曲がりなりにも『年頃』の女に死神はねぇだろ、死神は。なんだってそう思ったんだ?」
「…」


俺の問いに、一瞬眉間に皺を寄せたリヴァイは、1つ息を吐いてから話始めた。


「救護班のテントで、最初に目が覚めた時、目の前にあの女がいた。」
「あぁ、その話は、」
「熱と薬で意識が朦朧としてる中、薄暗いテントの中でランプの灯りに浮かび上がっていたアイツを見て、死神とやらは白髪頭なのかと思った。」
「…」


淡々とリヴァイは語る。


「2度目に目が覚めてもまだその『死神』は俺を見ていた。あの程度の傷で死ぬわけがねぇとは思っていたが、傷口から何か感染したのかもしれねぇと思った。」


眉間の皺は消え、その時のことを思い出すかのように空を見ていた。


「3度目に目が覚めてもまだその『死神』が俺を見ていて、ソイツは俺の額に手を当てながら大丈夫かと聞いてきた。」
「…」
「だから俺は『この程度で死ぬとでも思ったか』と言ってやった。」
「……お前、その時『死神』だと思ってた奴に何喧嘩売ってんだよ…。」


リヴァイの発言に、呆れまじりのため息を吐きながら続きを聞いた。


「そしたらソイツは驚いた顔をした後、おかしそうに笑いやがった。」
「いや、だっておかしいだろ、普通に考えてそんな喧嘩腰の怪我人…。」
「…4度目に目が覚めたのは、」


俺のツッコミにリヴァイはチラッと俺に視線を投げ、そのまま先を続けた。


「傷口のガーゼを変えている時だった。」


そう言いながら、肩のあたり…恐らく傷口あたりを意識してかしなくてかわからんが、リヴァイはそこに触れながら話を続けた。


「目が合ったアイツは俺にたった一言、もう大丈夫だと告げた。」
「それで?」
「終わりだ。」
「…あ?」


今度はチラどころかがっつり俺を見ながらリヴァイは言った。


「だから終わりだ。」
「いやいや待て待て待て。お前の今の話にはオチがねぇだろ!?」
「…いちいち話にオチなんてつけていられるか。」
「オチがなきゃなんでその会話をあの席で振ろうとしてたのか謎だけが残るだろうがっ!!」


なんて叫んだ俺に対して、今日は喋りすぎたとでも言うかのように無言でベッドに向かったリヴァイ。
イザベルとはまた違った意味で馬鹿なのかもしれないコイツをどうすればいいんだと、再び頭を抱える羽目になった。

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bkm

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