Detective Conan


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カタルシス


5


「おはよー!」
「おはようございます、青子さん、名前さん」
「おはよう、白馬くん」


季節外れの転校生は、なんと言うか…絵から抜け出たような人。
背が高く、白い肌に色素の薄い茶色い髪がよく似合う人で、女の子から人気が出るだろうな、なんて思っていたら案の定、転校初日に本人非公認のファンクラブが出来たらしい。


「おーおー、すーっかり女共従えちゃって!」


異性にモテると言うことは、当然同性からのやっかみがつきもので。
快斗もその1人のようだった。


「羨ましい?」
「ぜーんぜん!俺は1人からモテてりゃ十分!」
「そうなの?」
「おぅ!」


いつもの屋上。
梯子でさらに上に上がった、一見誰かいるなんてわからない場所。
以前快斗がここを「2人の秘密基地」と言っていた。
秘密基地なんて年でもないのに、なんて思いつつも、発想がすごく快斗らしいと思った。
ただ「2人の」という快斗に、どこか…、青子に対して申し訳ないような気持ちが沸いていた。


「手伝いましょうか?」
「え?…白馬くん」


日直だからと、先生に提出物を集めて持ってくるように言われた私は、クラスメートからプリントを集め職員室に行く途中、白馬くんと会った。


「女性1人にこんなことさせるとは考えられませんね」


イギリス帰りと言う白馬くんは「いかにも」な紳士ぶりを見せてくれる。
好きか嫌いかと聞かれて、正直なところ「苦手」
彼のこういう「レディファースト」なところは正直、慣れないせいで戸惑う。
同級生、まして快斗にはない、なんというか…大人な雰囲気がする人だ。


「名前さんと青子さんは双子なんですね」
「え?」


職員室までの道のりで、白馬くんにいきなり振られた話題に少し驚いた。


「…同じ顔だからすぐわかった?」
「わかった、というか…驚きました」


自分たちが双子なせいか、双子なんてそんなに珍しいものでもないと思うけど、全く接点のなかった人からすれば珍しいのかもしれない。


「こんな可愛らしい人が2人もいるとはもっと早く江古田高校に来れば良かった」


サラリと言う白馬くんに呆気に取られた。


「…白馬くんが女の子にモテるのがわかる気がする」
「おや、そうですか?でも誰からも好かれたいとは思ってませんよ」
「え?」
「…たった1人に好かれれば十分です」


この人は快斗と全然違った意味で「女性慣れしていそう」な雰囲気がある。
でも、その彼が快斗と全く同じ台詞を言ったことが、私が最初に彼を気になり始めたきっかけなのかもしれない。

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bkm

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