Detective Conan


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カタルシス


63


青子と名前は一卵性の双生児。
お父さんだって間違うくらいに青子と名前は似ている。
普段着る服は微妙に趣味が違うけど、制服を着ればほとんどわからない。
姉妹仲良くがモットーのお父さんの元、靴もカバンも一緒。
だから唯一の違いは、髪型だけ。
同じような長さの青子と名前。
青子は後ろに伸びた髪を流しているだけだけど、名前は右側に髪をまとめて流している。
本当にそれだけ。
ヘアゴムを使うわけでもなく、ピンを使っているわけでもない。
ただ真っ直ぐ垂らしているか、右に垂らしているかの違い。
最初はなんとなく変えていた髪型だったけど、それで青子たちを判別する人が多くて、いつからかその髪型は青子と名前を区別するものになっていた。


「オメー、…青子か?」


だから、気づくわけない、って思ってた。
…好きな人に気づかれない、惨めな自分を思い知って、自分でこの恋に終止符を打とう、って。
どちらからともなく言い出したことだった。


「どうして、気づいちゃうかな…」


気づかれないのは悲しい。
でも、『名前』じゃないって気づかれるのは、比べものにならないほど苦しいよ、快斗。


「ごめんね、快斗」
「え?あ、いや、別に俺は、」


あるいは気づかれなかったら、この恋を終わらせられたのだろうか…。
…ううん。
そんなこと出来るわけない、って、誰より青子自身が知っている。


「青子、快斗のことが本当に大好きなんだよ」


これで本当に、この恋が終わるとしても…。
『名前』じゃないことに気づいたんだとしても…。
ずっと胸に抱いていたその一言だけは、伝えずにはいられなかった。

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