Detective Conan


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カタルシス


62


「おはよう、白馬くん」


翌朝、いつもより早く学校に着いた僕に、他には誰もいない教室で青子さんが声をかけてきた。


「おはようございます、青子さん」


その声とは裏腹に、僕の視線は、別のところを彷徨っていた。


「どうしたの?」
「え?あ、いえ…」


青子さんのその問いに言葉が詰まった。
…僕は今、何をした?
誰を探したと言うんだ?


「あ、そうだ、ねぇ白馬くん。昨日の英語の授業で出てた英文、」


それは何の変哲もないいつもの会話だった。
本当に何気ない日常の会話だった。
なのに、どうして僕はそう思ったのか、今となってはわからない。
…そもそもにして、僕はどうして、目の前の女性を『青子さん』だと思ったんだろうか…。


「あなたは、」
「うん?」
「…名前さんですか?」


目の前でそれはまるで青子さんのように朗らかに…そしてどこか悲しそうに笑う彼女は、恐らく今さっき、僕が無意識で探した人物だった。

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bkm

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