Detective Conan


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カタルシス


64


私と青子は一卵性の双生児。
お父さんだって間違うくらい私と青子は似ている。
普段着る服は微妙に趣味が違うけど、制服を着ればほとんどわからない。
姉妹仲良くがモットーのお父さんの元、靴もカバンも一緒。
だから唯一の違いは、髪型だけ。
同じような長さの私と青子。
私は髪を右側にまとめ流しているけど、青子は長い髪を後ろに靡かせている。
本当にそれだけ。
ヘアゴムを使うわけでもなく、ピンを使っているわけでもない。
右に垂らしているか、真っ直ぐ垂らしているかの違い。
最初はなんとなく変えていた髪型だったけど、それで私たちを判別する人が多くて、いつからかその髪型は私と青子を区別するものになっていた。


「あなたは…名前さんですか?」


だから、気づくわけない、って思ってた。
…好きな人に気づかれない、惨めな自分を思い知って、自分でこの恋に終止符を打とう、って。
どちらからともなく言い出したことだった。


「どうして、気づいちゃうの…?」


気づかれないのは悲しい。
でも、『青子』じゃないって気づかれるのは、比べものにならないほど苦しいんだよ…、白馬くん。


「ごめんね、白馬くん」
「あ、いえ、僕は別に、」


あるいは気づかれなかったら、この恋を終わらせられたのだろうか…。
…ううん。
生まれて初めて気づいたこの想いに、そんなこと出来るわけない、って、誰より私が知っている。


「私、白馬くんのことが好きなの」


これで本当に、この恋が終わるとしても…。
『青子』じゃないことに気づいたんだとしても…。
ずっと胸に抱いていたその一言だけは、伝えずにはいられなかった。

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bkm

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