Detective Conan


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カタルシス


61


「おはよう、快斗」


翌朝、学校に向かう途中で名前が俺に声をかけてきた。


「おー、おっはよ!名前」


軽快な声とは裏腹に、俺の視線は、別のところを見ていた。


「どうしたの?」
「え?あ、いや…」


名前の問いに言葉が詰まった。
…俺は今、何をした?
誰を探した?


「あ、そうだ、ねぇ快斗。昨日出された数学の課題、」


それは何の変哲もないいつもの会話だった。
本当に何気ない日常の会話だった。
なのに、どうして俺はそう思ったのか、今となってはわからない。
…そもそもにして、俺はどうして、目の前のコイツを『名前』だと思ったんだろうか…。


「オメー、」
「うん?」
「…青子か?」


目の前でそれはまるで名前のように柔らかく…そしてどこか悲しそうに笑うコイツは、恐らく今さっき、俺が無意識で探した人物だった。

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bkm

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