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それは本当に些細な、それでいて私にとってはとても重要なことだったって、今にして思う。
「今日行ったお芝居楽しかった!ショータくんカッコ良かったんだ!」
快斗と出かけた日の夕方、興奮した様子で話す青子。
…それはつまり、白馬くんと出かけたことが、楽しかったってこと。
「…青子がお芝居なんて珍しいって思ったらショータくんが出てたんだ」
「そうなの!すっごいカッコ良かったよ!舞台中央で演技するショータくんに青子釘付けになったから!」
楽しそうに、楽しそうに話す青子。
青子が楽しいのは、良いこと。
普段ならそう思えたはずだ。
だけど…。
「それって白馬くんに失礼じゃない…」
それを青子が聞いていたのかはわからない。
でも、思わず私の本音が漏れた瞬間だった。
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bkm