Detective Conan


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カタルシス


50


それはほんの些細なことだったと今にして思う。


「楽しかったー!」
「それは良かったです」
「やっぱりショータくんカッコいい!!」


先ほど終わったばかりの舞台に興奮を隠せない青子さん。
その姿が本当に青子さんらしかった。


「途中で主人公が、」
「え?」
「え?」
「…そんなシーン、あったっけ?」


本当に思い出せないと、空を見つめる青子さん。
その言動に一瞬、何かが揺さぶられた気がした。


「ほら、劇の中盤の、」
「うーん…、やっぱり思い出せないや!中盤て言ったらショータくんが中央に立って長セリフを言ったところでしょ?青子きっとショータくんしか見えてなかったんじゃないかなぁ?」


そう言って苦笑いする青子さん。
それは本当に些細なことだった。
だが…。


−途中であの女優さんが、−
−あのシーンはやはりあの演技より、−
−そうかなぁ?あぁいう演技をすることで観客に対してきっと、−


青子さんほど2人きりの思い出はないはずの名前さんの顔が浮かんだのは、事実だった。

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bkm

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