Detective Conan


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カタルシス


3


小さい頃、お父さんに育てられたりおじいちゃん、おばあちゃんに育てられた記憶はあっても、お母さんに育てられた記憶はなかった。
うちにはお母さんがいないんだ。
そう気づいたのは物心ついてから。
そのお母さんは青子たちを生んですぐに亡くなったんだって知ったのは、それからもっと時間が経ってからだった。


「青子、今日の夕飯なんだけど、」
「あ!ごめん、この間青子の当番の時変わってくれたよね!?今日は青子がするよ!」
「でも…」
「いいからいいから!青子に任せて!」


6分違いの双子の妹。
たかが6分、されど6分。
誰に言われたわけでもないけど、「青子が」しっかりしなきゃいけないって、物心ついた頃、ううん名前と本当に一緒に暮らすようになった時に思ったのを、今でも覚えている。
名前は一卵性双生児なのに青子とは全然違う。
おしとやかで「大和撫子」って言葉がぴったりな妹。
アレはダメ、コレはダメと「姉」としてしっかりしなきゃと自分に言い聞かせてた分、気がついたら口喧しくなっていた自分。
それとは対照的に、物静かで、穏やかな名前。
これはどうにもならないことだけど、もし…。
もし、青子が名前より6分後に、「妹」として生まれていたら、こうなれたのかな?なんて。
「姉」であることは嫌いじゃないし、名前の姉として生まれたこと、本当に嬉しいと思う。
でも、穏やかに笑う名前を、ほんの少し、羨ましいと思っていた。

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bkm

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