■41
名前の口から聞かされた事実。
いつから?
どうして?
それと同時に強く思ったこと。
「またアイツか」
そして…。
「探偵、なんて言う奴、そういうの疎いって昔っから決まってんの!」
「…」
「オメーがどうとかじゃねぇよ」
口元を隠して今にも泣き出しそうな顔して俯く名前の頭を撫でる。
「オメーの良さに気づいてねぇだけだって」
だからそんな男止めちまえ、と。
オメーのこと、俺が1番良くわかってんだから俺にしとけ、と、本当は言いたかった。
けど、
「もし、」
「うん?」
「もし、私が青子だったら…。…それでも白馬くんは、青子を好きになったのかな?」
名前がほしいのは、そんな言葉じゃない。
俺の知らない間に名前は白馬と交流を持ち、俺の知らない間に名前は白馬を好きになった。
「オメーが青子になる必要はねぇよ」
「…」
「名前が名前だから、俺は一緒にいるんだけど?」
その言葉に名前の目からポロリ、と一筋の涙が流れ落ちた。
イギリス帰りのキザな探偵。
本当に目障りな奴だ。
名前の話を聞いた瞬間こそ、頭は真っ白になったが…。
深く息を吸い込んで、強く思ったこと。
「またアイツか」
そして…「アイツにだけは絶対に譲らない。たとえどんな手段を使っても」
目の前で俯き押し黙る名前の頭を撫でながら、自分の頭が徐々にクリアになっていくのを感じた。
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bkm