Detective Conan


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カタルシス


42


青子さんの口から聞かされた事実。
あぁ、やはり、という思い。
そうだろう、という思い。
それらの思いと同時に強く思ったこと。
「また彼ですか」
そして…。


「彼のようなタイプは、そういう面には疎いんです」
「…」
「青子さんがどうとかではないと思います」


今にも泣き出しそうなほどに顔を歪めている青子さん。


「青子さんの良さに気づいていないだけですよ」


だからそんな男早く忘れてしまえばいい、と。
誰よりも青子さんを見ているのは、青子さんをわかっているのは自分だ、と、本当は言いたかった。
だが、


「もし、」
「はい?」
「もし、青子が名前だったら…。…それでも快斗は名前を好きになったのかな?」


青子さんは今そんな言葉を望んでいない。
それは今のタイミングで言うべき言葉ではない。
青子さんは僕の知らない長い時を彼と過ごし、僕の知らない長い時の中で彼を好きになった。


「青子さんは青子さんだから良いんですよ」
「…」
「青子さんが名前さんになる必要なんて全く無い」


その言葉に青子さんの瞳からポロリ、と一筋の涙が流れ落ちた。
…神出鬼没で変幻自在の怪盗紳士。
その奇術まがいの早業で次々と「欲しい物」を手にする現代の大怪盗。
…僕の思考を狂わせる、本当に目障りな人物。
青子さんの話を聞いた瞬間こそ、頭は真っ白になりましたが…。
深く息を吸い込んで、強く思ったこと。
「また彼ですか」
そして…「彼にだけは絶対に譲らない。たとえどんな手段を使っても」
目の前で俯き押し黙る青子さんの頭を撫でながら、自分の頭が徐々にクリアになっていくのを感じた。

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bkm

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