■38
何がどう違うのかなんて、そんなことわかんねぇけど。
ただ…、ガキの頃から見てきた名前と青子の間に、うまく言えねぇ壁のようなものを感じるようになった。
「オメーさぁ、」
だからと言って、そんなに深刻に考えていたわけじゃない。
名前と青子は見た目は似てるが、中身は全然違う、っていうかいっそ真逆。
それでも、2人がそんなに揉めるなんてこと、今まで見たことがなかった。
だからこそ、
「青子となんかあったのか?」
軽い気持ちで、聞いたんだと思う。
「…何かって何があったって言うの?」
「え?んー…、なんとなくなんかあったのかなぁ、って」
「快斗の考えすぎよ」
いつもの屋上、2人だけの空間。
そのちょっとした優越感に、感覚が麻痺していたのかもしれない。
「そうかー?でも名前の青子に対する態度、前と違わねぇ?」
ジョークのつもりで言った言葉に、
「そんなことない!」
名前がこんなに取り乱すなんて、思っても見なかった。
「…ほんとになんかあったのか?」
「別に何もっ」
「なんもねぇのにオメーがこんなに取り乱すかよ!…どうした?言ってみろよ。俺は名前の味方だぜ?」
「っ…」
俺の言葉に、名前が息を飲む音が聞こえた。
「…名前?」
「…が、」
「え?」
「白馬、くんが、」
名前の口から出てきた言葉に、目の前が真っ白になった気がした。
.
bkm