■37
青子を嫌いになりそうだった。
同じ顔、同じ声、でも…。
何もかも一緒で、…何もかも、違う姉。
生まれた時間が6分違うだけなのに…。
けど、
「名前、…学校、行こう?」
嫌いになんて、なれるわけ、なかった。
生まれた瞬間から、対をなしていた、私の半身。
「おはようございます、青子さん、名前さん」
「おはよう、白馬くん」
「…おはよう」
言われてみて、気がついた。
白馬くんは、いつも青子を先に呼ぶ。
…あぁ、こんなにもわかりやすかったのに。
なぜ、気づかなかったのか。
…ううん。
きっと、気づきたく、なかったんだ…。
「オメーさぁ…」
何も変わらない日常。
何も変わらない景色。
でも知ってしまった、気づいてしまった想いに、気づかなかったフリなんて出来なくて。
「青子となんかあったのか?」
どこかがイビツに歪み始めたそれに、最初に気づいたのは快斗だった。
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bkm