Detective Conan


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カタルシス


36


思いの深さ故に人は人を傷つけてしまうんだと知った、17の春。


「今だから言えるんですが、」
「うん?」
「僕は、あの時出逢った少女は、青子さんではないかと思っていたんです」


困ったように端正な顔立ちを歪めて笑う白馬くん。
その顔があまりにも綺麗で、一瞬、何を言っているのかわからなかった。


「実はずっと覚えていたんです」
「え?」
「僕の初恋でしたから。曽祖父の葬儀の日、僕に『寂しくない』と言った少女は」


その一言に、どきりとした。
なのに、


「ずっと青子さんだと思っていました」


続くその言葉は、1番聞きたくない言葉だった。
白馬くんはぽつりぽつりと、あの時のこと、それからしばらく経ってから青子の名前をばあやさんに聞いたことを話してくれた。


−名前さんには名前さんの良さがある。青子さんのように振舞う必要はどこにもないと思いますが?−


私と青子を比べないと言った彼の口は。
私のコンプレックスを一瞬で消してくれた彼の口は。
1番言われたくない一言を言い放った。
青子は私にとって大切な人。
かけがえのないたった1人の姉。
けど…。
これほどまでに青子と双子に生まれた自分自身を恨んだことはなかった。

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bkm

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