Detective Conan


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カタルシス


33


「俺、あの日が初めてだったんだぜ。家族以外の誰かにマジック見せたの」


こんなこと、言ったところで何かが変わるわけがない。
だが…、言わずには、いられなかった。


「俺のヘッタクソなマジック見たソイツは、それでも俺を『マジシャン』って言ってきた」
「…だって快斗は下手なんかじゃ、」
「いーや!今から比べたらガキのママゴトレベルだぜ!」
「それはそうかもしれないけど…」
「けどそんなマジックでも、アイツは『マジシャン』て言ってきたんだ」


目きらっきらさせて初めて俺を「マジシャン」って言ってきた奴。


「今思えば、俺の初恋って奴?」
「え!?」
「ぜってぇ名前だと思ってたんだけどなぁ…」


あの日、すげぇって喜んでいたのは、いつも穏やかに笑う、アイツだと思ってた。


「あ、今のコレ内緒な」
「………うん」
「俺ココ最近、あの時計台の思い出が名前とじゃなく青子とだった、ってのが…まぁショックって言ったらオメーに失礼だけど…ショックでさ。俺は時計台で逢ったのが名前だと思ってたから、名前を好きになったのか、それとも『今』のアイツが好きなのか…。なぁんかわかんなくなっちまってなぁ」
「…それで少し、距離を置こうかと思ったんだ?」


青子には悪いことしてると思う。
だけど、自分の心をはっきり知るために、どうしても必要だった。
やっぱり「コイツ」じゃない、って。


「まぁ、そんなとこ?」


長いこと青子と勘違いしてた自分に呆れるが、それでも俺はやっぱり…。

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bkm

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