■32
青子があの時のアイツであると言うこと。
それは変えようのない事実。
…だからこそ、確かめたかった。
「快斗、おっそい!」
「悪ぃ、悪ぃ!」
らしくもなくグダグダ考えていたら、いつも通り時間ギリギリに待ち合わせに到着。
…名前と待ち合わせの時は、そう言うこと、ないんだけどな。
「青子、トロピカルマリンランド初めて!」
「俺も初めてだぜ?」
「そうなの!?快斗っておばさんからよく割引券貰ってるからもう行ったことあるのかと思ってた!」
「バーロォ!誰が遊園地に男1人で行くかよ!」
他愛ない会話。
いつも通りの会話。
だからこそ、余計に感じる…違和感。
それは青子にとっても、同じだったのかもしれない。
「ねぇ、快斗…」
「あん?お!次アレ乗ろうぜ!アレ!!」
「名前と何かあった…?」
「………………バレたか」
「バレないわけないでしょ!…何があったの?青子が話を聞いてあげましょう!」
別に青子に話したところで、昔の事実は変わらない。
そしてそれはきっと俺自身も…。
「俺ずっと、時計台で逢ったのは名前の方だと思ってたんだぜ」
「…え?」
どこか笑い話になるように、冗談めかして話始めた。
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bkm