Detective Conan


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カタルシス


30


どうして私なのか、気にならないわけじゃないけど…。
それでも、白馬くんが他の誰でもなく、私を誘ってくれたことが、何より嬉しかった。


「あれ?明日、青子も出掛けるの?」
「え!?う、うん、ちょっと…。って、名前も出掛けるの?」
「え!?う、うん、ちょっと…」


何か悪いことや、後ろめたいことがあるわけじゃない。
けど…。
なんとなく青子には「誰と」出掛けるか、黙っていた。
そして翌日の待ち合わせ。


「白馬くん!ごめん、待った?」
「…いえ、僕も今来たところです」


待ち合わせ10分前くらいには着くようにしようと思っていたら、もう白馬くんは待っていて。
小走りで待ち合わせ場所に急いだ。


「やはりいいものですね」
「え?」
「女性が僕のために駆け寄って来てくれると言うのは」


ニッコリ笑う白馬くんに、どう答えていいのかわからずに、俯いた。


「私、舞台観劇ってほんとに初めてで…」
「ではパンフレットも買いましょうか」


確かに私自身も、見てみたいと思ったから、パンフレットを購入することにした。


「い、いいよ!自分で出すから!」
「僕が誘ったんですから、これくらいは当然ですよ」
「ほんとに私、」
「では、」
「うん?」
「僕にも見せると言うことでどうですか?」


引かない白馬くんに、お金を払ってもらう後ろめたさもありながらも、やっぱりどこか、嬉しい気持ちもあり、それは隠しきれるようなものではなかった。


「では席に行きましょうか」


そう言う白馬くんの後ろを、白馬くんが買ってくれたパンフレットを抱きしめついていった。

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