Detective Conan


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カタルシス


1


私には、6分早く生まれた姉がいる。
私たち姉妹が生まれてすぐ、母は死んだ。
仕事一筋の父に幼い子、しかも2人も育てあげるのは無理な話で。
でも母の忘れ形見の私たちを父は手放したくなく、親族との話し合いの結果、1人ならなんとかなるという父の意見を元に、1ヶ月ごとに私と姉を交互に父の実家に預ける、という選択をした。
だから私たちは見た目もほぼ同じ、誰が見ても「一卵性双生児」の烙印を押されるが、幼い頃はお互いの存在は知っていても「一緒に暮らす」ということはなく、私たち姉妹が一緒に暮らせるようになったのは、小学校入学してからだった。


「名前ー!準備できたー?」
「今行くー!」


私たちは一卵性双生児。
けど、幼少期のそんな生活のせいか、見た目以外はぜんぜん違う。
姉は「明朗快活」という熟語が当てはまる、よく笑う人間。
でも私はどちらかと言うと、…これは幼馴染に言われた言葉だけど、「大人しく、穏やか」らしく「明朗快活」とは程遠い性格をしていた。


「今日転校生来るんだって!」
「ほんと?男の子?女の子?」
「さぁ、そこまでは…。名前はどっちがいい?」
「どっちでもいいよ」
「また冷めたこと言うー!」
「青子は?どっちがいい?」
「青子?青子はやっぱり女の子かな!友達になりたい!」
「じゃあ男の子来たらどうするの?」
「え?うーん…、まぁそれでもお友達になる、かなぁ?」
「結局青子も同じじゃない」
「えー?そんなことないよー!」


私たちは一卵性双生児。
でも、身長は2センチ、体重は−1キロ、5教科平均点は3点。
私よりわずか6分早く生まれ姉の方が秀でている。
よく笑い、みんなに慕われる姉。
その姉が、私はずっと、羨ましかった。

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bkm

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