Detective Conan


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カタルシス


18


迷子の男の子を見つけたはいいけど、泣くのを堪えているその子は、青子の手をきつく握り締め黙って俯くだけだった。


「俺、黒羽快斗ってんだ。オメー名前は?」


快斗の「魔法」に、男の子に笑顔が戻り、無事お母さんのところに連れて行くことが出来た。


「快斗って意外と子供あやすの上手だよね」
「そうかー?」


博物館での見学も終わり、何する?金ねぇし帰るか、ってなって、2人で家までの道を歩いていた時。
さっきの出来事を思い出していた。


「なんかいつもの快斗だとこう…、男が泣くんじゃねー!とか言ってよけい泣かせそうだけど、あの子笑ってお母さんと帰って行ったもん」


快斗は、優しい。


「あのなぁ、泣きそうなやつに泣くんじゃねぇは逆効果だろ?」


それは、出逢った時から変わらない。


「『俺、黒羽快斗ってんだ』だって!…変わらないね、快斗は」
「え?」


本当は、名前と2人だったら、お夕飯食べてから帰るつもりだったんじゃないの?って。
喉まで出かかった言葉をグッと飲み干した。


「変わらねぇって何が?」


青子の言葉に立ち止まり、振り返った快斗。
…いつもそう。
名前といる時快斗は名前に歩調を合わせる。
でも…。
青子といる時は、知らず知らず、距離が開いて、何かあると青子を「振り返り」聞いてくる。


「『俺、黒羽快斗ってんだ!よろしくな!』」
「え…」
「…もう忘れちゃった?あの日、時計台で青子と逢ったこと」


驚いた顔をした快斗の向こうで、子供たちの笑い声が響いていた。

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