Detective Conan


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カタルシス


17


「…まさかオメーが来るとは予想外」
「青子で悪かったわね!」


名前とデート当日。
熱が出たとかで名前からメールが着て、その時に青子が代わりに来ることを知ってはいたが、ボヤかずにはいられなかった。
見に行った展覧会は、遺跡で発掘された物の展示が説明文と共に飾られていて、まぁ…、マニアには堪らない展覧会なんだろう。


「悪ぃっ!俺ちょっとトイレ行ってくる」
「じゃあ青子ココら辺見てるねー」


名前に対して感じた後ろめたさや罪悪感。
ソレを青子に対して感じないかと言ったら嘘になる。
でも、名前のソレと比べ遥かに軽い。
結果的に代打青子のお陰で、心置きなく下見することが出来た。


「おっまたせ〜、って、なんだそのボウズ?」


俺が青子のところに戻ってきたら、青子は小さな男の子を連れていた。


「んー…、なんか迷子になったみたいで…。迷子センターに連れて行こうとしたら嫌だって言うから、青子が一緒に探してあげようかと思って…」


青子は根っからの学級委員タイプ。
困った人間は助けずにはいられない。
良く言えば面倒見が良い。
悪く言えば…お節介な女。


「しゃーねぇなぁ…。おい、ボウズ!オメー名前は?」
「…」


黙秘かよ!ってツッコミ入れたいところを、相手は心が弱ってるガキだと自分に言い聞かせた。


「仕方ねぇ。オメーに俺の秘密を教えてやろう」
「え?」
「耳貸せ」


青子と繋いでる手はそのままに、耳だけ俺の方に傾けた。


「実は俺、火星人なんだぜ?」


あ、コイツ迷子のくせにすっげぇ人をバカにしたような目で見てきやがった!


「嘘だと思ってんのか?見ててみろ!…ほらっ!」
「…わぁ!!」


マジシャンを目指していると、人のこういう興奮に似た表情を見ることは何にも変えがたい喜びだ。
驚かせ、笑わせ、喜ばせることが出来たらそれは、マジシャン冥利に尽きるんじゃねぇの?
そう思いながら次々と簡単ではあるがボールマジック、カードマジックを繰り広げていった。


「すごいすごい!火星人のお兄ちゃん!」


さっきまで涙を堪えていたボウズはすっかり俺の虜になっていた。


「ほらよ!」


そう言ってポケットに入っていた飴をボウズに差し出した。


「ぼ、ぼくにくれるの?」
「もちろん!」


飴を手に取ったボウズに、名前を尋ねる。


「俺、黒羽快斗ってんだ。オメー名前は?」
「ぼくは、」


なんとか名前も聞けて、無事迷子のボウズを親元へと届けることが出来た。

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bkm

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