Detective Conan


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カタルシス


16


「これが『東洋の魔石』、ですか…」
「奴は必ず狙ってくるはずです!」


江古田博物館に展示されている、ビッグジュエル−翡翠輝石別名「東洋の魔石」
それを狙って怪盗キッドがやってくるだろうと、警視庁捜査二課は睨んでいるらしい。


「犯行前に必ず奴は下見にくるはずです!いつ予告状を出されてもいいように、」


切々と語る警部補。
何故キッドは宝石を狙うのか?
それは僕にはわからない。
ただ1つ、わかっていることは、ヤツは決して「愉快犯」というわけでは、ないと言うこと(ある意味その犯行手口は愉快犯ではあるが)
金銭の目的のためだけに犯行に及んでいるわけではないことは、確かなことだ(犯行後持ち主に返却している上、返却物を鑑定しても間違いなく本物という点から)
キッドが何を企み、何を仕掛けてくるのか…、実に興味深い対象ではある。


「…名前さん?」


予定では近々下見に来るであろうキッドをのんびりと館内で待つのも癪に障る。
少し、「怪盗キッド」という人物を生み出したこの街を歩いてみよう、そう思い博物館を出て市内を1人、歩いている時だった。
青子さんの双子の妹、名前さんを見つけた。


「……どこか悪いんですか?」
「え?」
「少し、いつもより顔色が悪いように感じたので」


僕の言葉に反応して頬を撫でる名前さん。
…顔だけなら、青子さんそのものだ。


「少し、熱が出て…」
「え?」
「落ち着いてきたからポカリとか買出しに来たんだけど、なんだか寒気がしてきて今から帰るところなの」


そう言って右手で左腕を摩っていた。


「それはいけませんね。家までお送りしますよ」
「え!?だ、大丈夫だよ!」
「途中で倒れられたら困るのでお送りします」
「…どうして白馬くんが困るの?」
「女性をそのような目に合わせてしまっては、申し訳が立たなくなるからですよ」


名前さんは一瞬驚いた顔をしながらも、緩やかに微笑んだ。
彼女が買いだして来た物を手に持ち、家まで送る。
…我ながら酷いことをしてる自覚はある。
だが…。


「それで黒羽くんは、」
「うん。その時快斗ったらね、」


青子さんを巻き込みたくない。
故に青子さんに黒羽くんのことに関しては触れずにいる。
だからと言って「同じ顔」で笑う名前さんに聞くのは、なんとも言えない罪悪感がある。
だが…。


「なるほど。実に彼らしいですね!」
「でしょう?」


どんな些細なことでも、より優位に立つために。
少しでも多くの情報を頭に叩き込んだ。

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bkm

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