■15
青子と名前は一卵性の双子の姉妹。
見た目がそっくりな青子たちに、制服とか同じ服を着ているとお父さんは今でもたまに間違える。
でも…。
「週末?あー…」
「何?都合悪いの?」
「その日ちょっと名前と出かけんだ!悪ぃ!」
快斗にとっては、違うようだった。
いつからそうなのか?
どうしてそうなのか?
青子と名前の違いはなんなのか…。
青子には、わからなかった。
「快斗と出かけるの?」
「うん!ほら、江古田博物館である古代文明展の割引チケット持っててね、」
博物館なんて、興味ないくせに。
ずっと一緒だったから、そんなのとっくに知ってる。
快斗は名前の気を引きたいから、そういうことしてるって。
知ってて、見ないフリ、していた…。
「え!?38度!?大丈夫!?」
名前と快斗が出かけると言っていた当日。
名前は熱を出して寝込むことになった。
「快斗に、悪いことしたな…」
少し赤い頬で言う名前。
名前に、何より快斗に対して、酷いことをしてる自覚は青子にだってある。
けど…。
「な、ならさぁ!青子が変わりに行こうか?」
「え?」
青子だって、快斗と一緒に…。
「青子もその古代文明展、興味があったんだよね!」
「そうなの?」
「うん!…ダメ、かな?」
「…ううん。快斗には私からも言っておくね」
「ありがと!」
名前に手渡された割引チケットは、本当にただの紙切れだけど、すごくすごく、重たい紙切れだった。
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bkm