Detective Conan


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カタルシス


14


我ながら酷いことをしてるという気持ちはある。


「行こうぜ?週末!」
「いいの!?」
「おぅ!」


名前が前々から行きたいと言っていた博物館の古代文明展。
会場となるのは江古田大博物館。
…その一角に、次の獲物「東洋の魔石」と言われるビッグジュエルが展示されている。
名前をこっちのことで巻き込みたくは無い。
だが…。


「やぁ黒羽くん」


コイツ、ロンドン帰りのキザ探偵・白馬探が現れてから、ただの下見と言えどもやりにくいやりにくい!
俺1人で博物館に行こうものなら即刻容疑者扱いだってあり得る。
それは勘弁だ。


「快斗ー!」
「おー、青子どうした?」
「さっき佐藤くんが週末にある練習試合の助っ人頼めないかって言ってたけど?」
「週末?あー…」
「何?都合悪いの?」
「その日ちょっと名前と出かけんだ!悪ぃ!」
「…そう…。…佐藤くんには青子から言っておいてあげる!」
「悪ぃな」


名前を利用するような方法でデートなんかしたくない。
どうせデートするならもっとこう…、怪盗だとか、下見だとか?
関係ない、普通の高校生らしいデートってーやつがしてぇんだけどな…。
例えばテーマパーク巡りとか?
まぁ…名前はどっちか、ってーと、遊園地とか苦手そうだからなぁ(遊園地が、というか人ごみが苦手らしいが)


「快斗!」
「おぅ!どうした?」
「あのね、ネットで調べたら古代文明展、」


そう言って嬉しそうにその展覧会情報を俺に話す名前。
夜の仕事のことで名前を利用するような行為。
その行為に対して感じる罪悪感。
…それに拍車をかける名前の笑顔。
これはずっと…、俺が「怪盗キッド」としている限り、コイツに秘密にしている限り、ついて回る思いなのかもしれない。
その思いに蓋をするかのように、きつく目を閉じた。

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bkm

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