■11
−ぐーぜん、そこで会ったんだよ!−
いつもそう。
いつも、快斗は名前と一緒に戻ってくる…。
「ほんとは知ってるんじゃないの?」
「え?青子何か言った?」
「…なんでもない」
思っていても、…たとえ双子でも、聞けるはずない。
青子と名前は見た目がそっくりだから、きっと考えてることも一緒、って。
そういう風に思われがちだけど、中身は全然違う。
小さいとき、一緒にいなかったからなのか…。
名前の考えてることが、青子にはわからない。
「え?」
「青子さんもその町に縁があると伺いましたが。あれ?誰に聞いたんだったかな…」
いつものように、他愛ないことを青子に聞いてきた白馬くんに答えていた時。
それまでとは違う質問を、白馬くんが投げかけてきた。
「確かに青子のおじいちゃんとおばあちゃんの家があるけど…?」
「あぁ、やっぱり!僕も曽祖父の家がそこにあって、昔よく行ってたんですよ!」
「えー!?ほんとに!?すっごい偶然!!」
「ほんとですね」
おじいちゃんも、おばあちゃんも、大好き。
お父さんが大変な時に育ててくれたこと、ほんとに感謝してる。
でも…。
「あれ?もしかして白馬、って…」
「なんですか?」
「…違ったら恥ずかしいんだけど、もしかして白馬くんのひいおじいさんの家って、竹の垣根がずーーーっと続いてるお家の、」
「確かに曽祖父の家には竹の垣根がありますが?」
「やっぱり!!青子、白馬くんのひいおじいさん知ってるよ!!」
同じ時期、同じ年に交互に預けられ育てられた青子たち。
青子たちが双子じゃなかったら…。
ここまで性格の違いに思い悩むことも、なかったんじゃないのかな、って、そう思う。
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bkm