Detective Conan


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stock-永遠の恋-


78


「将来有望な高校生?」
「そう。キミ知らない?」


美和子さん、由美さんと3人で行われた女子会。
お開きになってそのままバックレようかと思ったら、翌日由美さんから「紹介してくれなきゃ逮捕しちゃうぞ!」と婦警姿の写メつきで脅迫された。
…職権濫用甚だしい。
と、キレたいところだが、そうしたら間違いなく駐車違反のキップを切られるから黙っていた。


「んー…、服部、とか?」
「アレは駄目だ」


そこで新一くんに聞いてみたところまさかの西の高校生探偵の名が出てきた。
人の話を聞かない少年と、人の話をねじ伏せる婦警のコラボなんか誰がみたいものか。


「もっとこう…、もの静かで知的な子が理想」
「…それ聞いてどーする気だよ?」
「干からびそうな女子会仲間に紹介するんだよ」
「…はぁ?」


まぁあの性格で高校生とつきあえるとは思えないが。
…いやでも私がつきあってる時点で由美さんもあり得るのか?


「もの静かで知的ねぇ…あ、」
「いたか?」
「1人。…いやでも俺アイツとあんま仲良くねぇし」
「誰?」
「…白馬探。白馬警視総監の息子」


…一婦警と警視総監の息子のスキャンダル。
しかも女は三十路、男は未成年…ネタになりそうだ。


「キミ」
「うん?」
「なんとしても白馬くんを紹介してあげたい人がいるんだけど」
「だから俺白馬と仲良くねーって」


ガタン


「お、着いたかな?」
「え?ここ?」
「まさか。ここから乗り換え」


現在由美さんへの貢物に頭を悩ませつつ(ある意味生贄とも言うな…)私の実家に向かう道中。


−ガキだガキだと思っていても、案外先を考えてるのかもねー?−


由美さんにそんなこと言われて少し構えてはいたけど。
新一くんを見ると至って普通。
緊張の「き」の字もないんじゃないか?
ガキだガキだと思っていたら、ほんとにガキだった、ってオチだ。
いや、1人意気込まれても困るんだが。
ほんとにそんなつもりはないから、今回の帰省には。


「そういや、」
「うん?」
「名前の親ってどんな人?」
「母親は物静かな人だよ」
「へー」
「…て、少なくとも上京前までは思ってた」
「え?」
「なんて言うか…。物静かより口下手って言うのかな?」
「あぁ…」
「私が東京に出てからメールをするようになったんだけど、なんていうか、うちの母さんはこんなにオモシロイ人だったのかと愕然とした」
「…どんな母親だよ」
「つまり口で言うのは苦手だけど、筆まめな人だから文字にする方が思いが篭るらしい」
「ふぅん…。親父さんは?」
「父さんは…、一言で言うなら職人気質?」
「職人て?仕事何やってんの?」
「公務員」
「職人関係ねぇじゃねぇか…」
「いや『公務員』という職人気質なんだって。つまり真面目が服着てる人間」
「…なるほど」


でもまぁ、父さんとは話が合うだろうなぁ、新一くん。


「あ、次で降りるよ」
「おぅ」


ガタンガタンと揺れる電車はもうすぐ私の地元に着く。


「ここからバスに乗るんだけど」
「つーか、」
「言うな」
「なんもねぇな…」
「だから言うなって言ってるだろ!」


初めて来た私の地元に新一くんは目を見開いて驚いていた。
顔にはまさかほんとにムーミン谷だとは!と書いてあった。


「自分が少し都会で生まれたからって調子に乗るな。それはキミの手柄じゃない。キミのご両親のおかげだ」
「なんも言ってねぇじゃねぇか…」


その後バスに乗りうちに近づくんだけど。


「キミ緊張とかないわけ?」
「緊張?んー…、まぁしてないわけじゃねぇけど、緊張ってのは結局どうつきあうか、だろ?そう言うの慣れてるし」


出た。
高校生のくせに、年齢らしかぬ発言。
まぁ…。
あれだけ大人の世界で活躍してたら、緊張とも友達になれるだろうさ。


「あれ?名前ちゃん!帰ってきたの?」
「あ、おばちゃん久しぶり」
「すっかりベッピンさんになちゃってまぁまぁ!」
「おばちゃんは相変わらずだね」
「ところでお隣は?」
「彼氏だよ」
「あ、どうも…」
「はいはい、こんにちは。東京の人?」
「あ、はい。そうです」
「やーっぱりね!ここらへんの子にはないあか抜けた男前連れて来ちゃって!」
「おばちゃん、このこと内緒だよ」
「わかってるって!!」
「あ、ここで降りるから」
「あ、じゃあ失礼します」
「はいはい、気をつけてね!」


プシュー、と言う音と共にバスが去っていく。


「キミ」
「あん?」
「この村の生贄にされたと思ってた方がいい」
「は?」
「さっきのおばちゃん」
「あぁ、あの明るく気さくな感じの」
「あの人この村の情報局だから、今日の夕方には私が男を連れ込んで帰省したことが村中に流れてる」
「…えっ!?で、でも内緒って今、」
「あの人の内緒はイコール村外へ漏らすことで、村内はみんな身内で内緒じゃないの」
「どんな田舎だよそれっ!!」


信じらんねぇ、みたいな顔をしてる新一くん。
だからムーミン谷だって言ったじゃないか…。


「うちここね」


未だぶつぶつ言っている新一くんを引っ張って、久しぶりに実家の前に立った。

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bkm

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