Detective Conan


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stock-永遠の恋-


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「出かけるぞ」
「え!?」
「なんだよ?」
「…キミ、」
「あん?」
「もしかして早漏?」


このヘタレに30分やると言ったのに、5分もしないうちに私の部屋に乗り込んできた。


「朝から何口走ってんだテメーはっ!!」
「だって大事なことだよ、そこは」
「馬鹿言ってねーでさっさと仕度しろっ!!」
「いやでも事後処理入れて5分もかかってないとか、早すぎるだろ」
「誰もオメーが想像してるようなことしてねーからそこから離れろっ!!」
「え!?じゃあキミどうしたの!?」


朝っぱらから僕元気です☆って主張してたのキミじゃないか!


「あのなー、イチイチ抜かなくても鎮まるもんだろーが!」
「…キミさぁ」
「なんだよ」
「昨日の夜もだけど、やっていいって言ってんのにわざわざ自制して楽しいわけ?」


コイツ、ヘタレてるだけじゃなくドMだったのか…。


「別に楽しんでしてるわけじゃねーし!」
「じゃあ喜んでしてるのか」


そう言うと新一くんが、ジロッと私を睨んできた。


「この際だからオメーに確認しておきてぇんだけど!」
「何?」
「オメーは、…名前は俺のこと、どー思ってるわけ?」
「ヘタレでドMの早漏?」
「そういうこと聞いてんじゃねーだろうがっ!!」
「ああ、でもドMの早漏はまだ疑惑だったね」
「だからそーじゃねぇって」
「じゃあヘタレってことで」


まぁ聞きたいことはわかるけど。
…私この子に言ったことなかったっけ?


「キミをどう思ってるかと言うと」
「もーいい」
「まぁヘタレてるのは仕方ない。それがキミの売りだ」
「…聞けよ、俺の話」
「ドMかどうかは私とつきあうあたりMっ気があるのは間違いない」
「…」
「前回が初めてだったから早かったのか、それとも元々早いのか、はたまた私の技術が玄人レベルだったのか…。それは今後わかることだろう」
「冷静に分析してんじゃねーよっ!!」


もうヤメロと顔を真っ赤にして口を抑えられ阻止された。
聞いてきたのはキミじゃないか。


「結論から、私がそんなキミをどう思っているかと言うと、」
「だからもういいって言ってんだろ!?」
「好きだよ、キミのこと」
「だからもういー、って、………………はっ!?」


ほんと見ててあきない奴だ。


「何、意外?」
「え!?い、いや、その答えが普通なはず…」
「キミどんだけ自分に自信あるの?」
「え、」
「だってそうでしょ?好きって言うのが普通ってキミ何様?」
「い、いや、そうじゃなくてさ、」
「何?」
「な、なんつーか…、こ、恋人になったんならそれが普通って意味で、」
「…まぁ確かにそうだね」


言われてみればもっともな意見なんだが、その「もっともな意見」を言うのにここまで恥ずかしそうできるのも不思議だ。


「じゃ、私準備するから出てってくれる?」
「は、え?べ、別にいてもいいじゃ」
「狭い1Kとかならいざ知らず、他にも部屋がある時に女の化粧してる姿を見てるもんじゃないよ。さ、出てった出てった」
「あ、おい、ちょっ」


パタン


−恋人になったんならそれが普通って意味で−


はっきりと口にされたことで改めて思う。
恋人になったんだな、私。
あのヘタレと。
いや、それは昨夜の段階でわかっていたことではあるけど。
今まで散々ヘタレのヘタレっぷりに泣かされてきた分、改めて本人に言われるとまた感慨深いものがある。
昨日業者に整頓してもらったクローゼットの中から服を選ぶ。
……………自然と手持ちの服の中でも可愛い系の部類に入るスカートを手にしてる自分、キモいぞ。
そうか、アレといると私の無意識の意識も乙女になるのか。
…今日は化粧も薄目にして、せめて「大学生カップル」くらいになるようにするか、なんて。
私は十分あの子に振り回されている。


「お待たせ。出かけるか」
「…」
「何?」
「…あ、いや、なんっか、いつもと感じ違う…?」
「ああ。そりゃあ仕事の時とは違うよ。彼氏とデートだし?」
「…俺そっちの方がいー」


いつもはそりゃあ、舐めなられないように武装して仕事してるわけだけど。
それに比べたらむしろ手抜きと取られても不思議じゃないほどの薄いメイクだけど、この少年はこれが好みらしい。


「わかった。キミと出かける時はこうする」
「…おー」


チラッと顔を覗くと、やっぱりどこか恥ずかしそうに視線をさ迷わせてる新一くん。
こういう表情を見ると、本当に…。
私はまだまだ、この少年に振り回されるんだろうなぁ。
なんて面映ゆい日々。
明るい日差しの下、手を繋ぎ歩き出した。

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bkm

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