Detective Conan


≫Clap ≫Top

stock-永遠の恋-


75


「キミさぁ…」
「…」
「誰も手出すななんて一っ言も言ってないんだから、」
「…」
「そんなになる前に行動起こせないの?」
「ウルセェ」


予想に違うことなく、何事もないまま翌朝を迎えた私たち。
私はと言うと、年若い恋人のぬくもりを感じつつ大爆睡したわけだけど。
その年若い恋人はと言うと、眠れなかったらしく起きたら目が充血し不機嫌になっていた。
…なんてアホな子なんだ。


「てゆうかね、」
「なんだよ?」
「この状況で手出さない方が返って失礼なんだと学べ」
「はあ!?」


ようやく恋人になりました。
早速一緒のベットに入りました。
何事もなく無事翌朝を迎えました。
…どうなんだよ、コレ。
自分に魅力が無さすぎるんじゃないかと悲しくなってくるじゃないか。


「あのなー、俺はオメーに気使って」
「だから気の使い方が間違ってるって言ってるじゃないか。人の話を聞かないヤツだな」
「オメーが俺の話最後まで聞いてねーじゃねぇかよっ!」


ベットの上に座り、若干血走った目で不機嫌そうに怒鳴り散らす新一くん。
だからそうなる前に行動に移せって言ってるのに。


「じゃあ聞いてやろう。キミの言い分は?」
「…別にもういー」
「拗ねるなよ」
「だからガキ扱いしてんじゃねーよっ!」


頭を撫でてやろうとしたら思い切り手を払いのけられた。
…これのどこがガキじゃないって?


「ごめん、ちゃんと聞く」


小さくため息を吐き、謝罪を口にすると、心底驚いた顔をされた。
…失礼なヤツだな。


「…俺、は、」


体育座りって言うの?
両膝を立てて脛のあたりで手を組み、腕で顔を隠すように俯いて話出す新一くん。
…男の気落ちしてる姿って、母性本能くすぐられるけど、この姿も充分くすぐってるわ。


「俺は?」
「…こういうことは、ちゃんと順を追ってしたい」
「…はあ?」


思わず出た本音にジロッと新一くんが睨んでくる。
反射的に口元を手で隠した。


「だから俺は!…ちゃんと手繋いでデートして、キ、キスとか?するのが当たり前になって、それから、って」


何言ってんだあんた。
そう思うのは私だけか?
あれ?
私この子と1度ヤらなかったか?
男の子の1番大事なものかどうかは謎だけど、それを美味しくいただかなかったか?
それなのに順を追って恋人ごっこをしようと?
え、それってぶっちゃけ


「今さら?」
「だから言いたくなかったんだよっ!!」


ふん!と私に背を向ける新一くん。
…乙女なヤツだと思っていたが、ここまでだったとは…。


「で、キミの言い分としてはまずお手手繋いでデートがしたい、と?」
「…」
「聞いてんのかコラ」
「あー、そうだよっ!名前にはどうでもいーことかもしんねーけどなっ!!1度順番すっ飛ばしちまってるからこそ、今までごちゃごちゃしてたし、オメーにも嫌な思いさせてたんじゃねーかって思ったんだろ!?だからもう1度最初っから順を追ってきてーんだよっ!!」
「…」
「…」
「…」
「…な、なんだよ」
「相変わらず可愛いヤツだなぁ、と」
「かわっ!?だ、だからオメー男に可愛いとか言」
「キミの言い分はよくわかった」
「…相変わらず人の話聞かねぇな、オイ」
「ちょうど今日は休みだし、キミの言う通りお手手繋いでデートしようじゃないか」
「…なんっか、その言い方頭くんだけど」
「ただし、」
「あ?…は?え、ちょ、…っ…!?」


へったくそだなぁ、とか。
いや、下手っていうより慣れてない?
どうしたらいいのか戸惑ってる感じ、か。
まぁ…そういう少年を自分好みに育て上げるのもいいのかもしれない。
…って、発想がすでにオバサンの域に来てやしないか心配だ。


「はぁ…」


新一くんの小さな吐息とともに口を離す。


「女にも性欲ってのはあって、あんまりおままごとさせて、他所に目がいっても知らないからね」


最もこんなに可愛い年下くん、自分から手放すか、っていう話だけど。
そこは言ってしまったらおもしろくない。
このへタレがうろたえてる所を間近で見るのがおもしろいんじゃないか。
…なんて言ったらさすがにブチ切れるだろうな、このへタレでも。


「じゃ、デートの準備でもしますか!」
「…」
「ん?どうした?」
「…オメー先に部屋から出て」
「はあ?何い」


順を追って恋人らしいことしていきたい。
そう心は思っていても、肉体は立派な青年なわけで。
…体は馬鹿正直なようだ。


「…私がしてやろうか?」
「ニヤニヤしてねぇでさっさと出てけ!10分後には出かけるから早く仕度しろ!」
「はいはい。でも化粧するから最低30分はキミにあげる」
「…」
「ごゆっくり」


これがこれからの日常なわけね。
悪くないどころか、このなんとも言えない甘い日々を待ち焦がれていたような、そんな気さえする。
パタン、と新一くんの部屋の扉を閉め、出かける仕度を始めた。

.

prev next


bkm

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -