Detective Conan


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stock-永遠の恋-


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「…キミ私をからかってるの?」
「んなわけねーだろ!!」


病院から工藤家に帰って来た後、有希子さんが「あらー!若い2人の邪魔はしないわよー!」と言って工藤先生とどこかに消えていった。
私はというと、質素な夕飯を済ませた後、話があるからと新一くんの部屋に呼ばれたわけだけど。
その話というのがなんとまぁ…。


「からかってるとしか思えない」
「だからそんなんじゃねーって言ってんだろっ!」
「いやだって、人が縮むなんてっ!」


奇想天外、摩訶不思議。
事実は小説よりも奇なりとはよく言うけれど、いくらなんでもそんな馬鹿な!


「だーかーら、言いたくなかったんだよ」


不貞腐れながら言う新一くんは、私をからかっているとも思えない。


「…それ本当なの?」
「だからそーだって言ってんだろ!」
「いやだってキミ、コナンくん見たことある?あの子このくらいの身長だったよ?」
「見たことあるも何も、だから俺だって言ってんだろーが!」
「いやだってコナンくんて言ったらさぁ…」
「…コナンて言ったら?」
「小学生の癖に殴り飛ばしたくなるくらいクソ生意気でたまに気持ち悪いくらいぶりっ子しててあり得ないくらいサッカーとスケボーがうまかった子だよ?」
「…息継ぎもなしに言い切ったなオメー…」


いやだってそこまで接点はなかったけど、あの子すごい印象的だったし!


「そのクソ生意気で気持ち悪ぃぶりっ子が俺だったんだよっ!」
「…ごめん、やっぱり信じられない」


だってあのコナンくんて言ったらいきなり「あれれ〜?」とか言って毛利さんや蘭ちゃんに


「…キミさぁ」
「うん?」
「その話がほんとだったとして、」
「だから本当だって言ってるだろ!」
「正体隠して蘭ちゃんとこで寝泊りしてたわけだ?1年間」
「えっ!?」
「ああ、それならなんかすごい納得いったわ」
「い、いや!蘭の家選んだのはオッチャンが探偵だったからであって」
「なるほどね〜。毒薬飲まされて小さくさせられても好きな子の側にいたかったわけだ」
「だから別にそんなんじゃねーって!」


蘭ちゃんがさっき言ってた「新一がいない時にずっと守ってくれたコナンくん」は、他の誰でもない新一くんだったわけ。


「そういえば、」
「うん?」
「キミ前に夜魘されてたときに言ってたね」
「え?」
「また小さくなるかもしれない、って」
「…ああ…」
「どういう意味かわかんなかったけど、ようやく理解できた」
「…頭じゃわかってんだけど、な。灰原自身にも問題ねぇし」


うん?


「ち、ちょっと待って!」
「あ?」
「灰原って、…宮野さん、だよね?」
「…そーだけど?」
「宮野さん自身に問題って?」
「…名前も知ってるだろうけど、コナンの周りに少年探偵団ってのがいただろ?」
「え?ああ、うん。そんな子たちいたね」
「その中の1人。灰原哀。クールで小学生とは思えない言動してたヤツがもう1人いたの、覚えてねぇか?」
「…そ、そう言われてみたらもう1人拳骨でもして、その曲がった根性直したいと思った子がいたわ」
「…ソイツが名前の言う宮野志保」


なんですって!!
あの小学生のクソ生意気コンビがコレとアレなわけ!?
「あら、バカね」とか涼しい顔して言ってた小学生が宮野さんっ!?


「すごい納得できたよ今…」
「…納得してもらえたなら良かった」


そうか、それでその後の経過観察なわけだ…。


「じゃあ前に宮野さんとの関係聞いた時に言ってた戦友って何?」
「あー…、アイツも組織とやりあった1人。…て、ゆうか組織から逃げてきたヤツだから。俺は俺を取り戻すために、アイツは自由を手に入れるために組織をぶっ潰した」


…なるほど。
だから一科学者でしかない宮野さんが組織壊滅に力を貸したのか。
元々組織の人間なら納得がいく。


「それで?」
「え?」
「1年間蘭ちゃん騙してずっと寝食をともにしてきて、元の姿に戻った後シレッと接していたらあっという間に…誰だっけ?何とかくんて人に蘭ちゃん掻っ攫われたわけだ」
「…その話はもういーから」


馬鹿な子だなぁ、と。
あれだけ一緒にいたのなら、いくらでも蘭ちゃんに言うチャンスはあっただろうに。
不器用なのかただのポンコツなのか…。
どっちかと言うと、って言うかどっちかと言わなくてもポンコツか…。
まぁそのお陰で今こうして私の前でカミングアウトしてるんだろうけど。


「…まぁ、それが俺と江戸川コナンの関係」


そりゃあ確かに誰にでもベラベラ話せる関係じゃないけど。
なんというか…。


「キミ本当に痛い目みてたんだね。私の想像超えてたわ…」


世間が眠りの小五郎と騒いでたのは、実はこの子が毛利さんを眠らせて毛利さんのフリして推理ショーしてただけだとか。
今の毛利探偵事務所の閑古鳥っぷりは、蓋を開けたら至極納得な理由だった。


「キミ、コナンくんのままだった方がみんな幸せだったんじゃないの?」
「バーロォ!んなわけあっかよ!」
「いや〜、少なくとも毛利家の人たちにとっては」
「例え仮にコナンのままだったとして!」
「うん?」
「…俺がコナンのままだったとしても、その他大勢が幸せになってもオメーは幸せになんねぇじゃねーかよ!」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…なんか言えよっ!」
「ああ、そう」
「他に言うことねーのかよ!?」
「キミ顔赤いよ」
「オメーもう喋んなっ!!」


この子にとって私は、幸せにするに値する人間、てことなんだろうか。
病院で聞いた蘭ちゃんの発言といい、赤い顔の新一くんを見てどこかこそばゆい自分がいた。

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bkm

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