Detective Conan


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stock-永遠の恋-


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「マ、マジで言ってんのか、それ?」
「ええ、そうよー!コナンちゃんのように強くて賢い子になってもらいたいんですって!」
「…いや、だからってそれは」
「新ちゃんも嬉しいでしょー!」


イマイチ理解出来ていないが、どうもこの一家とあの目がねのコナン少年とは関わりが深そうだった。


「…キミとコナンくんてどんな関係?」
「あら名前ちゃん聞いてないの?」


半ば無理矢理有希子さんに車に乗せられ、生まれたての毛利コナンくんがいる病院へ向かう。
運転は有希子さん。
助手席は工藤先生。
私と新一くんは後ろに乗ったわけだけど。
こっそりと新一くんに聞いたつもりが、有希子さんにはしっかり聞こえていたようだった。


「聞いてないって何をですか?」
「この子実はねー」
「母さん!!」
「なぁに、新ちゃん?」
「…前見て運転してくれ」


明らかに新一くんが話を遮った。
そういうことされると気になるのが人の性だ。


「キミ、」
「…なんだよ」
「そんなに堂々と私に隠し事するわけ?」
「べ、別に隠し事ってわけじゃ」
「そう?わかった。私もそのつもりでいる」
「…そのつもりって?」
「仮に答えたくない質問をキミから投げ掛けられた時、今のキミのように堂々と隠すことにするから」
「だから俺は別に隠し事してるわけじゃねーって言って」
「私も別に隠し事するわけじゃないよ。ただ言わないし言いたくないだけでしょ」
「だから!俺は言いたくないってわけでも」
「諦めろ、新一。お前には分が悪い」
「…口出すんじゃねーよ」
「キミ親に向かってその口の聞き方止めな」
「…」


あれだけ道楽させてもらってるのにどうやったらそういう口の聞き方ができるんだ。


「まぁ終わったことだし、お前が思い出したくないなら我々が名前くんに言うまでだが?」
「…後で話す」


何をそんなに勿体ぶってるのか知らないけど。
コナン少年とどういう関係かって聞いただけなのに、後で改める必要があるのか?
ますます謎だ。


「おお!有希ちゃん!来てくれたのか!」
「やぁね、当たり前でしょ!英理は?大丈夫?」
「高齢出産でかなりやつれてるけど生きてるぞ!しぶてぇからな、アイツは!あっはっはっ!」


病院につくと毛利さんが出迎えてくれた。
妃さんのことボロくそ言うわりに、かなり顔が嬉しそうだ。
病室に向かう途中、自分でも緊張してきたのがわかる。
病室の扉を開け、見渡すと、緊張の原因は、いなかった。


「有希子!来てくれたの!それもみんな一緒に」
「当たり前でしょ!可愛いコナンちゃんの顔をみんなで見に来たのよ!…はぁい、コナンちゃん!有希子お姉さんですよー!」


そこはあえてみんなツッコまないようなので、私もツッコまずにいた。


「で、こっちが新一おじちゃんねー!」
「なんで母さんがお姉さんで俺がおじさんなんだよ!」
「あら、コナンちゃんから見たら18も年が離れてたら十分おじちゃんよ!」


じゃああなたは化け物の域に入りませんか?
なんて、円滑な人間関係のためにも思うだけに留めた。


「…あら、あなた」
「お久しぶりです」
「確か…K出版の苗字さん、だったかしら?」


さすが記憶力の良い弁護士先生だ。
過去にたった1度毛利さんの取材の時にいた妃さんに挨拶しただけだったにも関わらず、私の名前を覚えていたとは。


「最近うちの愚息の探偵助手をしてくれていてね」
「…ああ、それで。…わざわざありがとう」


直感でしかないけど、私今、この人に嫌われたと思う。
まぁ…娘の敵なんだから、仕方ないことだけど。


「お嬢さんは今日はいらっしゃらないんですか?」


あえて誰も話題に出さない。
全員と面識があるにも関わらず、そのことに誰も触れないのはなんだか滑稽で笑える。


「あの子は今日空手部の集まりでそっちに行ってるわ。引退してもまだまだ頼りにされてるんだもの。ありがたく思わなくちゃね」


どこでも人気者のお姫さま、か。
そりゃ親の自慢の娘だ。


「あら?お水切らしてる…」
「あ、私行ってきますよ」


正直なところ、妃さんのいるこの空間に耐えられないし。


「でもお客さんに」
「大丈夫です。私も水飲みたいし。さっき通った食堂に給水機ありますよね?」
「…ええ、悪いわね」
「いえ。じゃあちょっと行ってきます」


空のボトルを手に持ち病室を出てため息を吐く。
法廷で百戦錬磨を貫くだけある。
私に対して笑っているけど、目が笑ってない。
まるで犯罪者を品定めしているような目を向けられたわ…。
まぁ、仕方ないことだし、本人がいないだけありがたいと思わなきゃなんだろうけど。


「名前、さん?」


給水機から水を入れて、病室に戻ろうとした時、一番会いたくなかったお姫さまに遭遇した。

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