Detective Conan


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stock-永遠の恋-


66


「キミ寝不足?」
「…ルセェ」


やっぱり、と言うか。
当然の結果とでも言おうか。
新一くんは、何もして来なかった。
背中を向けてたから表情まではわからなかったけど、だいぶ悶々としていたのか、翌朝そりゃーひどい顔して起きて来た。
ちなみに私は昨日のお風呂場の後始末や朝食の準備で一足先に起きていたのだけど。
リビングに入ってきた新一くんに苦笑いしか出なかった。
そんなになる前に行動に移せばいいのに。


「どうせ休みなんだし、もう一度寝たら?」
「…別にいーんだよ」


寝不足から来る不機嫌さがかなり高い数値を示しているみたいだけど。
でも。
あの状況でこんなにはっきりと寝不足になってくれるなんて。
それはつまり、私を意識し過ぎました、と言っているようなもので。
寝不足のこの子には悪いけど、どこか嬉しい自分がいた。


「でも休めるうちに休んだ方がいいと思うけど?」
「…俺腹減ったんだけど」
「ああ、うん。ご飯できてるよ」


少しボーっとしてる感じで黙々とご飯を食べる新一くん。
…絶対寝た方がいい気がする。


「ごちそうさまでした」
「はいはい」


私がご飯を作って、新一くんがお皿を洗うのが、なんだか日課になってきた気がする。


がちゃん


「はぁ…」
「…キミほんとにもう1回寝たら?」
「ちょっと手が滑っただけじゃねーかよ」
「そうだね。ちょっと手が滑ってそれで3枚目でしょ?」
「…」


よくよく考えてみたら、この子昨日軽井沢からずっと運転してたわけだし。
私は恐らく空からあのビルの屋上に行ったんだろうけど、この子は屋上まで駆け上がって来たんだろうし。
しかもその後逆上せてるし。
疲れてないわけがない。


「そこはもう私が片づけるから」
「…有給、」
「うん?」
「今日で終わりじゃねーか」
「…そうだね」
「寝てる場合じゃねーじゃねぇかよ」


つまり、私のせっかくのお休み寝て過ごしたくない、ってこと、か。
またこの子は朝から可愛いこと言ってくれるなぁ。


「わかった」
「あー?」
「私もまだ眠いから片づけて一緒に寝よう」
「…」


食べたばっかりで寝たら太る元だけど仕方ない。
がちゃがちゃと割れた食器を2人で片づけて新一くんの部屋に行った。
ふらふらとベットに吸い寄せられるよう新一くんが倒れこんだ。


「ほんとに大丈夫?」
「…寝る」
「そうしな」
「…名前も、」
「うん?」
「寝るんだろ?」
「…ああ、うん。寝るよ」


手首を掴んで聞いてくる新一くんがまた可愛い。
引き寄せられたわけじゃないけど、掴まれた手首そのままに、私もベットに倒れこんだ。


「マジでねみぃ…」
「うん、もう少し寝よう?」
「おー…」


その言葉を最後に、気持ち良さそうな寝息が聞こえてきた。
…そんなに眠かったのか。
今寝るって言って3秒もしなかったはず。
工藤のび太だな。


「…お休み、新一くん」


眠る彼のクチビルにキスを落として、私も目を閉じた。

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bkm

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