Detective Conan


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stock-永遠の恋-


5


「あーー!もうウルセェなぁ朝っぱらから!!!何時だと思って、て、名前さん!?」
「待ち合わせは工藤家。何時に来ても構わない。そう言ったのキミでしょ?」
「あ、いや、だって、え!?今何時?」
「朝の7時半」
「まだデパート開いてねぇじゃねーかよ!!」


ほんとは来るつもりなかったんだけど。
いつになるかわからないけど、仕事で次に会うことはほぼ確定なわけで。
その時に嫌味言われても適わないからさっさと用を終わらせようと、朝イチで押し掛けてやった。


「キミまだ寝てるようだし帰るわ」
「ちょ、ちょっと待った!起きる!起きるから!ちょっと上がって待っててください!」


ちっ…。


「…今舌打ちしましたね?」
「うん、聞こえるようにした」
「…」


玄関からして嫌味なほどデカイ。
さすが工藤先生のお宅だ。


「こっちがリビングです」
「どうも」


たっかそーなスリッパ履いてリビングに通される。
…いるんだな、こういう家に住んでる人種。
なんかサイズがアメリカン?
ええ、うちはどうせうさぎ小屋です。
ここのソファ皮だよ、おい。


「名前さん、コーヒーでいいですか?」
「あ、私コーヒー飲めないから煎茶で」
「…うち煎茶ないです」
「じゃあ初めから聞かないでくれる?」
「…」


日本人のオモテナシは日本茶だろうが。
なんなのこの家。


「どうぞ」
「なにコレ?」
「冷蔵庫にコーラしかなかったんでコーラです」
「…コーラ飲み過ぎると骨溶けるよ?」
「いつの時代の話ですか、それ。コレ飲んで待っててください。あ、テレビも好きなヤツ見ていいんで」


そう言って扉の向こうに消えた工藤新一。
このテレビ何インチなわけ?
私よりデカイんじゃないの?
な、わけないけど。
それにしても、皮のソファ座り心地いいなぁ。
この肌触りは好きじゃないんだけど、この包み込む感じの座り心地が高さを物語ってるわ。


「お待たせしました」
「おー、意外に早かっ…」
「なんです?」
「キミ普通の服持ってるじゃない」
「そりゃありますよ」
「なんだ、じゃあ買い物行くこともないね。じゃあ今日は解散。お邪魔しました」
「…ピンポンピンポンうるせぇくらい鳴らして人を叩き起こしておいてそれはねーだろ」
「キミが何時でもいいって言ったんでしょ?」
「そーですけど…」
「…でも」
「え?」
「赤はキミに合わないかもしれないなぁ…」
「…そーですか?」
「うん。まぁ見慣れてるせいもあるけど、キミには青とかの寒色系の方が似合うと思う。好きなの?赤」
「あ、いや、俺じゃなくて…」
「うん?」
「…今持ってる服はほとんど蘭が選んだヤツだから…」
「ああ…」


そういやあの子赤って言うか赤系の服着てるイメージだな。
なるほどねぇ。
オシャレに興味がない彼氏を自分好みに変えていたわけだ。


「意外としたたか」
「誰がです?」
「…」


ま、せっかく変えても無頓着すぎて破綻したら意味ないけど。


「捨てる?」
「え?」
「蘭ちゃんが選んだ服全部」
「…えっ!?」
「キミが男をあげるには、蘭ちゃんの服はもう必要ないと思うけど?」
「…」


ま、捨てる勇気はないだろうけど。


「…捨てるなら買い物つきあってくれます?」
「え?」
「俺何が似合うのかとかわかんねぇし」
「ああ…」
「ほとんど蘭が選んだヤツだから、全部捨てるなら一気に買わないと」


驚いた。
この子意外と潔い。
あんな粘着してたのに。


「でもキミお金は?全部買い換えるって言ってもお小遣いあるの?」
「それは大丈夫ですよ。自由に使えって父さんのカード預かってますから」


…高校生がカード。
当たり前のようにカード。
しかも私が持ってるヤツと違って、金色に輝いてるんだろうな…。
いや、工藤先生ならもしかしたら黒光してるカードかもしれない。
…世の中不公平だな、おい。


「名前さん?」
「…ま、私の懐が痛むわけじゃないしね」
「は?」
「OK、蘭ちゃんの服全部捨てて、新しいヤツ買いに行こう」
「…はい」
「ただし」
「はい?」
「私好みに偏っても知らないからね」
「別にいいですよ、服なんか着れりゃそれで」


だからフラれたんだよ、少年。
もっと服選んでくれてた蘭ちゃんの意図を汲み取ってやれば良かったのに。


「キミって」
「はい?」
「事件現場以外では意外とポンコツだね」
「…」


好きな子の想いは推理できなかったのかねぇ…。
…できなかったから今私がここにいるんだよな。


「てゆうか」
「うん?」
「俺腹減ったんだけど」
「食べれば?キミんちじゃない」
「…パン買い忘れたから」
「は?…ご飯は?」
「…炊き方わかんねぇし」
「はぁ!?キミ今まで何食べて生きてきたわけ!?」
「何、って、蘭が作りおきしてたやつチンしたり、デパ地下の惣菜買ったり?」
「…呆れた。蘭ちゃんに作りに来てもらってたの?」
「別に頼んだわけじゃねぇけど、勝手に作りに来てたんだよ!」
「…それを良しとしてたわけだ?キミそりゃ愛想尽かされるよ」
「…」
「キミさぁ」
「…んだよ」
「いい加減蘭ちゃん離れしたら?」
「え?」
「もう蘭ちゃんがキミのために何か作ってくれることなんてないんだよ?自分で作るしかないんだから、服も捨てるしいい機会だ。料理も覚えなよ」
「…」
「それとも、男は包丁持つもんじゃないとか思ってるわけ?」
「いや、そんなことは」
「だったら料理しろ」
「…はい」
「わからないことあるなら教えてあげるから頑張んな」
「名前さんて、意外と面倒見いいですよね」
「…童貞のままのたれ死にたくないならその減らず口直しな」
「…俺の減らず口直してほしいなら、オメーもその口の悪さ直せよな」
「なんか言った?」
「いいえー、別に?」


この日から、推理以外はポンコツな工藤新一の家庭科専門教師になった。

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bkm

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