Detective Conan


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stock-永遠の恋-


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「えー?じゃあ一緒に食べれないのぉ?」
「おー。なんか名前熱っぽいし念のため、な」
「ふぅ〜ん?」
「…なんだよニヤニヤして」
「ん〜ん。べっつにぃ」
「…別にって顔じゃねぇだろ」
「…だってぇ!」
「なんだよ」
「新ちゃん昨日は名前『さん』だったのに、今日は呼び捨てなのねぇって思っちゃっただけだからぁ!」
「べっ、別に俺がなんて呼ぼうが関係ねーだろっ!!」


…煩い。
新一くんの添い寝をしていたはずが、目が覚めたらさらにダルくなり。
乙女な熱の計り方をする新一くん曰く微熱っぽいらしく、フロントで体温計を借りたところ、36度9分だった。
ほんとに微熱なんだろうけど、平熱が低い私には体温計を見た瞬間寝込む勢いだった。
それを見た二日酔いから復活した新一くんが、夕飯のお誘いに来た有希子さんにお断りをいれたら、この会話。
…まぁ昨日あれだけ名前さん、名前さんと忠犬ぶりを見せてたんだからそこを突かれても仕方ない。


「名前、具合は?」
「…檜風呂入りたい」
「あのなぁ、そんなことしてたら余計酷くなるだろ」
「檜の露天が私を呼んでいる…」
「呼んでねーから寝てろ!」


嘘だ。
あの檜が私においでおいでって


「…オメー熱上がってんじゃねーか?」
「大丈夫。気合いで治す」
「…いや、薬飲めよ」


んー…。
ほんとにちょっとダルいくらいなんだけどなぁ…。


「明日」
「うん?」
「万座でも露天入れるぜ?」
「あ〜、万座の湯って白い湯だったっけ?」
「さぁ?俺初めて行くから」
「そう」
「でも、」
「うん?」
「…屋上露天風呂、貸しきりらしーから、入りてぇなら予約するし」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…なんか言うことねーのかよ?」
「どうした、突然?」
「他に言うことねーのか、オメーはっ!」


いや確かに?
ここでお風呂に誘ったのは私だけどさ。
まさか貸しきり風呂のお誘いをこの子から受けるとは思いもしないじゃないか。


「別に入りたくねぇなら予約しねーからな!」
「…ああ、ごめん、入る入る」
「…だったら今日は飯食って薬飲んで寝てろ」


ふんっ、と顔を背ける新一くんの耳はやっぱり赤い。
ほぼ強制な軽井沢旅行だったけど、我ながら良い旅になってるんじゃないかと思う。


「確かに微熱だけどさ」
「あん?」
「だからってお粥はないと思う」


軽井沢に来てルームサービスでお粥…。
ないわ…。


「風邪引いたらお粥だろ?」
「いやそこまで弱ってない」
「胃に優しーぞ」
「…さてはまだ二日酔いで胃がおかしいな?」
「…」
「…」
「…1人で食えって言ってんじゃねーからいいだろ」
「いやむしろ新一くんが1人で食え」
「…オメーにはつきあってやろーか、って言う気持ちはねーのかよ?」
「あ、ここ、コレがオススメなんだよね。来る前にネットに書いてあった」
「…」
「でもコレ頼んだら飲みたくなるよね」
「…」
「うーん…じゃあ今日は白ワイン飲もうか。新一くんはどうする?」
「…勝手にしろ」


ああ、わかりやすい。
少し気だるい体も心地良く感じる。


「あ、すみません。ルームサービス追加で味噌汁2つお願いします。…はい、…いえ味噌汁だけで。はい…」


受話器を置いて振り返ると驚いたような顔をしてる新一くん。
そういう顔もいいね。


「二日酔いにはお粥より味噌汁だよ。覚えておきな」
「…他には頼まねーのかよ」
「お粥があるからね。勿体ない」
「…」
「ま、キミが自分で稼げるようになってから食べに連れてきてもらうよ」
「…ここ結構高いんだけど?」
「そう?頑張って稼ぎな、名探偵」
「…すぐ連れて来てやる」
「期待してる」


外は満天の星。
ここは軽井沢の中でも屈指のホテル。
露天風呂も備え付け。
だけど。
そんなものより、こうして2人で食べるお粥と味噌汁が何より美味しく感じる。
そんなくすぐったさのある夜だった。

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