Detective Conan


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stock-永遠の恋-


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「はい、じゃあこれ、新ちゃんと名前ちゃんの部屋の鍵ね!」
「………えっ!?」


かなり気分良く大熱唱した後、無事軽井沢のホテルに到着。
先に着いていた有希子さんがにこやかに出迎え、部屋に案内してくれた。
優作さんは次回作のヒントになりそうなものはないかと散策中らしい。
…あの人ほんとに取材旅行にしてくれるんだ。
ありがたい事だ。


「ち、ちょっと待て!なんで鍵が1つなんだよ!?」
「いやね〜、当たり前でしょ!ホテルには息子夫婦と泊まるって言ってあったんだからっ」
「はぁ!?」
「あ、名前ちゃん」
「はい?」
「お部屋に檜の露天風呂がついてるから入ってみてね」
「…ありがとうございます」


この人がしゃべると絶対ハートマークが飛んでると思う。
うっすらとしか覚えてないけど、昔化粧品のCMに出てた藤峰有希子がすごく綺麗で大人になったらああいう人になりたいって、思ってた気がする。
…そんな人とまさかこんな形で出逢い旅行する日が来るとは思いもしなかった。


「ち、ちょっと待てって!何が檜風呂だよっ!部屋もう1つとって」
「いやね〜、今さらでしょ?ねぇ、名前ちゃん?」


まぁ確かに今までも何度も同じベットで寝たし。
何にもなかったけど。


「うん、ほんとに今さら」
「バッ!バーロォ、今さらも何もねーだろっ!?」
「キミの部屋で寝るかホテルで寝るかの違いなだけでしょ?」
「そ、そういうことじゃねーだろっ!」
「…じゃあ聞くけど」
「え?」
「キミ、私と同室嫌なわけ?」
「えっ!?いや、嫌ってわけじゃ」
「嫌じゃないならいいじゃない」
「えっ!?」
「すみません、話まとまりました」
「じゃあ新ちゃんと一緒でここを出て右のお部屋だから」
「はい」
「いやだからそういうことじゃなくて」
「ほら行くよ」
「あ、お夕飯は6時からの予定だからそのつもりでいてねー!」
「はい、では後ほど」
「ちょっと待てって!!」


有希子さんから鍵をもらい部屋に向かう。
…有希子さんたちの部屋を見た時からそんな気はしてたけどさ。
なんというか、まぁ


「2人じゃ勿体ない部屋だね」


この部屋1泊いくらだよ。
さすがです、工藤先生。


「…俺やっぱり母さんに言って」
「キミは私にこの広くゴージャスな部屋に1人寂しく泣きながら寝ろと言ってるの?」
「えっ!?いや、そういうわけじゃ」
「じゃあいいでしょ」
「ええっ!?いやだからだなぁ」
「あ、ここだね、噂の檜の露天風呂」
「聞けよ俺の話っ!」
「あ!もうお湯張ってある!…うん、温度もいい感じ」
「…聞いてねぇし」
「有希子さんに言われた時間までまだ時間あるし1回入ろうかな」
「…俺だけバカみてぇじゃねーかよ」


初めて朝まで一緒に過ごすわけじゃないんだから、何をそこまで気にしてるんだか。
旅先でもこれとか、頭痛くなる…。
ここは一発ガツンと…あっ!


「キミ一緒に入る?」
「……はっ!?」
「露天風呂」
「…な、なに言ってっ」
「だから一緒に入るかって聞いてるの」
「か、からかってんじゃねーよっ!」
「いや本気」
「ほ、ほん!?」


この子ほんと面白いなぁ…。


「わかった」
「え?」
「私タオル巻いて入るから。キミもそうすればいいし。それでいいでしょ」
「えっ!?いや俺入るなんて一言も」
「別に入らないなら入らないで構わないけど」
「うん?」
「今入らないなら今後何があってもキミとだけは絶対一緒に入らない」
「…ええっ!?」
「どうする?入る?入らない?」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」


まだかっ!
いつまで悩んだら気が済むんだっ!


「はっ、」
「は?」
「………はい、る」


たった一言にずいぶんと時間がかかったものだ。
顔真っ赤にしちゃってさ。
でも、


−今入らないなら今後何があってもキミとだけは絶対一緒に入らない−


あの言葉で入るって選択肢を選んだんだ。
良しとしよう。


「じゃ、先に入ってるから適当に入っておいで」
「…」


ほんとに入ってくるか怪しいけど。
とりあえずお先に、長旅で疲れた体を檜風呂に沈めた。

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bkm

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