Detective Conan


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stock-永遠の恋-


48


「いつも酒臭くなって帰って来たときはだいたいあそこに行ってたわけだ?」
「美味しいでしょー?」
「…まぁ、確かにうまかったけど」


オッチャンの屋台で盛り上がって、すっかり出来上がってしまった私は、現在工藤くんに手を引かれ帰宅途中。
やっぱりあそこは上流階級の人間の口にも合う美味しい店なんだ。


「…うちこっちだけど」
「バーロォ、そんなふらっふらしてる女1人にできるかよ」
「…キミがうちに泊まればいいだけの話なんじゃないの?」


わざわざ工藤家に行かなくても、ここからならうちの方が近い。


「…かよ」
「え?」
「嫌なのかよ、うちに来んの」
「…」
「…」
「…行こうか、キミんち」
「おー」


夜で工藤くんの顔がよく見えないのが残念だ。
このへタレがどういう顔でああいうこと言うのか、見てみたかったのに。


「おっじゃましまーす」
「どーぞ」
「ジャグジー使わせてもらおうかな」
「…そんな酔ってて危ねぇから明日にしろよ」
「キミも一緒に入れば大丈夫なんじゃない?」
「…はっ!?」
「冗談。お茶もらうねー」


ま、あのへタレが自分ちに連れ込めただけ進歩したもんだと思おう。
これ以上は拗ねると困る。


「名前さんて、」
「なにー?」
「…俺からかって楽しい?」
「うん、すごく」
「…」


工藤家皮のリビングソファに座ってお茶を啜っていると、少し不貞腐れたような工藤くんが入ってきた。
…すでに拗ねてたか。


「…ガキ扱いしてんじゃねーよ」
「してない。ガキは嫌いだし。これは性格」
「…」


ふぅー、と吐く息が酒臭いのが自分でもわかる。
明日休みだからって飲みすぎたか…。


「キミ明日の予定は?」
「…」
「…」
「…別にねぇよ」
「そんなに拗ねるな」
「別に拗ねてねーし」


黒羽快斗くんのことがうやむやになった上、弄られたことにご立腹、か。
そこがガキと言うのだよ、少年。
ああ、でも。
酔った時しかこの子とそうなれない私も、酒の力を借りなきゃどうにもならんガキってことか。


「ねぇ、新一くん」
「…え」
「今日、私どこで寝ればいいの?」
「え、」
「ここのソファ?ゲストルーム?それともキミの部屋?」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」


私いつまで待たされるんだろうか…。
たぶん、今この子の思考回路はショート寸前?
いやもしかしたらもうショートしてるのかもしれないな…。


「ま、とりあえずお風呂いただくから私の寝床、用意しててね」
「…」


あの子まさか家に連れ込むだけ連れ込んでその先考えてなかったとか言わないよな…。
いや、あのヘタレは考えてなかったかもしれない。
それがあり得るから怖い。
ポンコツもポンコツだけど、ヘタレも大概ヘタレだよな…。
顔よし、頭よし、家柄よしで申し分ないのにポンコツヘタレって言う最大な致命的欠点があるばっかりに人生損してるよな、あの子。
…まぁだから私といるんだろうけど。
あのヘタレてるところ嫌いじゃないし。
ポンコツは困るけど。
ああ、ジャグジー気持ちいー…。


「…ん…」
「名前さん?」
「…工藤、くん?」
「…良かった」
「あ、れ?私…?」
「…風呂場で逆上せて倒れてたんだよ!酔ってんだから入るなって言っただろ?」
「…ここキミの部屋?」
「そーだけど」
「そっか…、ごめんね」


ポンコツ、ポンコツ言ってたせいか私までポンコツになった気がした。
てゆうか、


「キミんちバスローブまであるんだね…」
「…俺は着ねぇけど」
「うん、キミが着たらなんか嫌」
「…」


アルコールのせいなのか逆上せたせいなのか…。
頭が少しボーッとする。


「キミ寝ないの?」
「…寝る、けど」
「じゃあ電気消してね」
「…」


ベットに入ってきた工藤くんの体がひんやりしていて、気持ち良かった。
どちらともなく繋いだ手から互いに熱が伝わっていく。
ここはやっぱり、ホッとする。


―くっだらねー!何、オネーサンそんなん気にする女だったの?―


夕方会ったあの子の言葉が頭を過る。
結局、年も世間体も、気にしすぎてるのは他の誰でもなく私自身。
そんなの取っ払ってしまえばすぐわかるのに。
ここは、こんなにも落ち着ける場所なんだって。


「新一くん」
「…うん?」
「私、この家に戻ってこようかな」
「…おー」


短い返事の変わりに強く握り直された手のぬくもりが全てを語ってくれる。
外から聞こえる物音も全く気にならず、この日は深い眠りにつけた。

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bkm

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