Detective Conan


≫Clap ≫Top

stock-永遠の恋-


47


「ところでさ」
「うん?」
「キミなんで私の番号知りたかったの?」


3段に積み重なっていたアイスもぺロリと平らげ、おかわり行っていい?って聞いてきた黒羽快斗くん。
どういう胃袋してんだ、この子。


「だってオネーサンと友達になったらおもしろそーだし!」


さすがに追加したのは1つだけだったけど。
それでも高校男児がアイス4つ…。
しかも全部チョコ…。


「それ前に言われた」
「えー?誰に?」
「怪盗キッド」
「ぶはっ!!」
「…キミ汚い」
「す、すみません…」


食べてたチョコアイスを盛大に噴出した黒羽快斗くん。
今の漫画かアニメのような噴出しだったぞ。


「オ、オネーサン、キッドに会ったの?」
「うん。まぁ、友達になったら、じゃなく、私に変装したらおもしろそうって言われただけだけど」


噴出したチョコアイスを拭き取りながら会話を続ける。


「どうだった?」
「うん?」
「キッド。間近で見たんでしょ?」
「ああ…。大きい声じゃ言えないけど」
「うん?」
「…あの人バイなんだ。しかもゲイ寄りの」
「…はぁぁぁ!!!??」


あ、そこまで驚いてくれると教えた甲斐がある。
ちょっと嬉しいぞ、その反応。


「な、なんで!?なんでそんなことにっ!?」
「え?本人が言ってたし」
「え、ええっ!?」
「あ、キミも許容範囲内じゃない?気をつけなよ?キミ意外と隙あるし。彼若い男の子好きみたいだから」
「…」


黒羽快斗くんは、がっくーん、と肩を落として俯いた。
狙われるのが怖いか。
そうだろう。
私は工藤くんとそうなってるところを想像するのが怖い。


「まぁ、普通に生きてれば会うこともないだろうし。大丈夫じゃない?」
「…」
「迫られても逃げればいいんだし」
「…」
「…黒羽快斗くん?」
「…ぶっ」
「え?」
「あはははははは!!!!オネーサンやっぱおもしれー!!周りにはいないタイプ!」
「…そう良かったね」
「あー、腹いてぇ!うん、俺マジでオネーサンと友達になりたい!オネーサンみたいな彼女はお断りだけど、友達なら間違いなく爆笑の日々だ!」
「大丈夫だよ」
「うん?」
「私もキミみたいな彼氏お断りだから」
「…そっちですか」


ひとしきり笑った黒羽快斗くんと、約束通り番号交換をした。
…地味に若い男の子の知り合いが増えてる。


「オネーサンに電話してもその彼氏おこんねー?」
「え?…どうだろ。たぶん怒らないだろうけど、くだらない用件なら私が怒る」
「…くだらなくない用件で電話させていただきます」
「そうして」
「じゃ、オネーサンもなんかあったら電話してね」
「何もないから電話しないと思う」
「…オネーサン、オブラートに包んでってお願いしたでしょ」
「…何かあったら電話する」
「そーして。じゃあバイバイ、オネーサン!明るい道帰るんだよ!」
「はいはい、またね」


マンションまで送っていくって言ってたけど、あの子の性格上家がバレたらいつうちに押しかけてくるかわからないからお断りした。
ほんと元気な子だ。
…そう言えばあの子も高3だし、受験勉強いいのかな。
工藤くんもしてる気配ないけど。


「お、っどろいた…。キミどうしたの、ここで」
「…あれ誰?」
「え?ああ、黒羽快斗くん?」
「名前聞いてんじゃねーよ。アイツ何?」


黒羽快斗くんを見送って振り向いた先に工藤くんが立っていた。
…最近の受験生は勉強しないらしい。


「…友達?」
「どこで知り合ったヤツ?」
「え?」
「アイツ俺と同じくらいじゃねーの?」
「ああ、うん。工藤くんと同級生」
「…そんなヤツとどこで知り合ったんだよ」


正直驚いた。
昨日、この子に「俺だけが必死みたいで」と言われたけど、それはなんというか、この子が恋愛経験が低いせいでいっぱいいっぱいになってるだけの「必死」さだと思っていたんだけど。
推理現場を見るとこの子って物凄く…心を切り離したような行動を取る時があるから、あまりそういう行動取らないと思ってた。
けど、これは、明白。


「…ちょっと昔からの知り合いなんだ」
「昔からって?」
「昔は昔」


1〜2週間前の昔。
工藤くんは納得いきません!て顔をして何か考えている。
そうか…。
この子、こういうことで嫉妬するのか。
なんかちょっと、嬉しい、かも。


「で?」
「え?」
「どうしたの?」
「…」
「買い物?」
「…名前さんメール見てねぇの?」
「え?」


携帯を良く見たら、新着メールを知らせる表示があった。
…黒羽快斗くんに気を取られて全く気づかなかったわ。


from:工藤新一
sub :no title
本文:仕事何時あがり?迎えに行く。


「…ごめん、今見た」
「…はぁ」


なんだか珍しく立場が逆転してる気がした。
あれ?へタレはどこに行った?


「今日、」
「え?」
「残業だと思うって言ってただろ」
「ああ、うん」
「…だからメール入れたんだけど、そんな心配いらなかったみてぇだし俺帰るわ」


ああ…。
黒羽快斗くんとはまた違ったわかりやすさがある。


「キミご飯は?」
「…まだだけど」
「珍しく食べに行こうか」
「…別に無理しなくていーですよ。食べてきたんでしょ」
「ああ、バニラアイスをね」
「…はぁ?」
「さっきの彼甘党でチョコアイス食べたいからってアイス屋につき合わされたんだ」
「…」
「バニラアイスしか食べてないから微妙にお腹すいてるんだけどキミが行かないなら1人で行くよ」
「…何食いに行くんだよ」
「私行きつけの高級料理店に案内してやろう」


まだ不服そうな顔をしてるけど、手を引いて歩き出せばきっとそれもすぐ良くなる。
たぶんきっと、少し赤い顔して歩いてる。


「…どこが高級料理店なんだよ」
「キミここをバカにしちゃいけない。そこらへんの店より格段に上手い!安い!親切!!」
「姉ちゃんありがとよ!おらおら、兄ちゃんも突っ立ってないで座った座った」


あの事件のせいで行きそびれていた私お気に入りのオッチャンの屋台に、初めて工藤くんを連れて行った。

.

prev next


bkm

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -