Detective Conan


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stock-永遠の恋-


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「じゃ、もう2度とここで会うことないだろうけどお達者で」
「待て待て待て待て」
「なに?」
「ケー番」
「あ、私携帯ないから」
「嘘つくんじゃねぇよ!さっき弄ってたじゃねぇか!!」
「あ、あれ小型通信機」
「…オネーサンそんなフザケた性格でよく探偵の彼氏できたね」
「彼氏じゃないし」


バッティングセンターを出たら、すっかり日も傾いていて。
じゃあ解散、て時に黒羽快斗くんに呼び止められた。
…これ以上高校生の知り合いはいらん。


「俺今日さんざんオネーサンに尽くしたんだけど?」
「そう?ご苦労」
「…エラソーだな、おい」


なかなか引き下がらない黒羽快斗くん。
片想いの彼女がいるならその子に時間使えよ。


「じゃあこうしよう」
「あ?」
「キミが私とまた遭遇できたら、その時は教える」
「はぁ?」
「だから今日は解散」
「ちょっと待て」
「なに?」
「…またオネーサン見つけたら、ケー番教えてくれんの?」
「いいよ。見つけられたらね」


ここはマンションとは逆方向。
しばらくここに来なければこの子も私の顔忘れるだろ。


「その時オネーサンが男といても?」
「いいよ。声かけな」
「じゃ、決まりだな!俺そー言う探し物見つけんの得意だから、せいぜい頑張って逃げろよ?」
「いやたぶん忘れてフツーに生活してるわ」
「…オネーサン俺のこと嫌い?」
「好きか嫌いかの2択を問われたら嫌い」
「…次はもっとオブラートに包んで。こう見えてガラスのハートだから」
「わかった。じゃ、解散」


手を振る黒羽快斗くんに背を向け歩き出す。
人懐っこい子だなぁ…。
いや、私が高校生に好かれやすいのか?
それはないな…。
あの手の顔に好かれやすいのか?
いや、黒羽快斗くんのアレは好かれるってよりむしろ懐かれる感じだ。


「おぅ!いらっしゃい!姉ちゃん久しぶりだな!」
「おっちゃん、いつものね!」
「あいよ!」


今日は帰って夕飯作る気力もないくらいバットを振り回した。
運動の後の気だるい体に染み入るアルコールはなんとも格別。
日ごろの仕事疲れとはまた別の何かだ。
ああ、アルコールが回る。
今日は取材という名目で結局ほとんど仕事しなかった。
明日がきついなこりゃ。


「…ふぅ」


エレベーターのないマンションの5階は微妙に辛い。
酔いも醒めるってもんだ。


「…」
「…」
「…」
「…いつか警察に届け出すよ?」
「別にストーカーしてるわけじゃねーだろっ!!」


階段も上りきって、さぁうちだってところでうちの玄関前に座り込んでる工藤くんを見つけた。
そんな気はしてたけど、あからさまに機嫌が悪かった。


「…なんでメシ行かなかったんだっけ?」
「機嫌が悪いから」
「鼻唄歌ってご帰宅するほど、随分機嫌が直ったみてぇだな」
「キミが機嫌悪いみたいだから行かなくて良かった」
「誰のせいだと思ってんだよっ!!」
「キミ、」
「あ?」
「人の家の玄関先で怒鳴るの止めてくれない?近所迷惑」
「…」


ああ、工藤くんのコメカミがひくつくところ久しぶりに見た気がする。


「だいたい何ふらふらになるまで飲んでんだよっ!」
「いや、いつもと同じ量だったんだけどね。疲れた体にはちょっと効いた」
「オメーってヤツは…」
「あ、入る?」
「…ここで追い返したらほんとにキレるぞ」
「じゃあ帰る?」
「おいっ!」
「冗談。どうぞ」
「…お邪魔します」


工藤くんを先に中に入れて鍵をかける。
この子はオカネモチのお坊ちゃんらしく、行儀作法がとてもいい。
この年の男の子にしては、と言ったら失礼かもしれないけど靴を揃えて家に上がる。
しかもきちんとしゃがんで手で揃える。
…元カレ足で揃えてたぞ。


「工藤くん電気つけて」
「はいはい」
「きゃっ」
「え?っと、うわぁ!」


玄関から部屋に入る時にある普段は気にならない段差が、疲れて酔った体には気になる段差だったらしい。
てゆうか「きゃっ」だって。
我ながら可愛い悲鳴が出たもんだ。


「だ、大丈夫ですか?」
「あー、うん」


咄嗟に手を出した工藤くんを巻き込み、見事両膝を強打した。
ぶっちゃけ大丈夫じゃない。
でも。
久しぶりに感じる工藤くんの熱が、心地良いからいいや。


「…名前さん?」
「少し、」
「はい?」
「このままでいて」
「えっ?」
「新一くん」
「えっ!?」


黒羽快斗くん目掛けてバッティングして少しはすっきりしたと思ったのに。
この子を見たら、蘭ちゃんが嬉しそうに新一とは釣り合わないって言っていたことを思い出してしまった。
私には釣り合わない、という意味だったんだろうけど、蘭ちゃんから聞くと新一に釣り合わない、というニュアンスでしか聞こえなかった。
そう聞いてしまった自分がひどく、悔しい。


「今の名前さんて、」
「うん?」
「…キッドじゃねーよな?」
「…」
「…」
「…」
「…ってーー!!!何すんだよっ!!?」
「…さ、明日も仕事だからシャワー浴びて寝るわ。キミもう帰って」
「人の顔殴っといて帰れだぁ!?オメーふざけんじゃ」
「あ、高木刑事ですか?今うちに不法侵入者が」
「どこに電話してんだよっ!!」


ピンポーン


「ほら、お迎えだよ」
「…マジで呼んだのかよオメー」
「苗字さん!高木ですっ!大丈夫ですか!?」
「さ、帰った帰った」
「あ、おい」
「あ、苗字さ、て工藤くん!?え?不法侵入者って工藤くん!?」
「いや俺は」
「あとは任せました。じゃ」
「あ、おいこら」


玄関を閉めてため息を吐く。
高木刑事には明日にでもお詫びとお礼をしておこう。
それにしてもあの状況でニセモノか疑うってひどくねーか?
どうしてあの子はこうもああなんだ…。
もう1度大きく息を吐いて、疲れた体を洗い流した。

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bkm

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