Detective Conan


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stock-永遠の恋-


24


「…キミ」
「はい」
「病人の寝込みを襲うほど血迷ったか」


夢で泣いていたのか、わからないけど。
ざーざー降る雨音で目が覚めると、体の自由が奪われていて。
よく見たら何故か工藤くんが覆いかぶさっていた。
いや、正確には横抱きにされていて、工藤くんの腕が自由を奪ってた?


「俺が襲ったんじゃねぇよ」
「え?」
「…心配で何回か見に来たけど起きる気配ねぇし。寝る前にもう1回って思ってきたらなんか泣いてるし」
「…ああ。なんか夢見てたから」
「…ビビって声かけても起きねぇし、どうしようかと思ってたらいつの間にかTシャツ掴まれてて離さねぇし」
「…」
「まぁ…、このまま放っといて寝るよりはいっか、って」
「ベットに入り込んだわけね」
「だから俺から入ってったわけじゃなくてだなぁ!」
「…まぁなんでもいいけど。キミ風邪移っても知らないよ」
「夏風邪ひくほど馬鹿じゃないんでね」


そういう問題じゃないとも思うけど。
…でもまぁ確かに、途中から夢も見ず寝てた気がする。
お陰でだいぶ体が楽だ。


「名前さん」
「うん?」
「…」
「…」
「…」
「…キミさぁ」
「…んだよ」
「自分でキスしておきながら真っ赤になるの止めてくれない?」
「…ゥルセ」


私が教えたことに忠実に従う工藤くんは、私がやったことと同様に頬にキスしてきた。
ん、だけど。
そこまで照れるならやらなくていいのに。


「学校は?少年」
「今日休みだろーが」
「…ああ、そう言えば」
「つーか」
「うん?」
「いい加減それ止めてくんねぇ?」
「どれ?」
「…少年、てヤツ。なんか俺がすげぇガキみてーじゃねぇか」
「違うとでも思ってるの?」
「…」


これは自分に言い聞かせてる言葉。
この子は「少年」
この子に私は合わない。
私の隣はこの子のためにあるのかもしれない。
でもこの子の隣は私じゃない。
それを一言で表している言葉。
言ってないと、自分を見失う。


「…ガキじゃねぇし」
「親の脛かじりがよく言う」
「…」
「てゆうかいい加減手離してくれない?」
「…」
「…」
「…」
「おい、離せこら」
「他に言い方ねぇのかよ…」
「ねぇよ。キミが手離してくれないと起き上がれない。退いて」
「…退かないって言ったら?」
「は?」
「ガキの手くらい振りほどけるだろ」
「…」
「…」
「…その言葉」
「え?」
「後悔するんじゃないよ?」
「は?」
「ふんっ!!」
「ぐはっ!?げほっ、ごほっ!オ、オメごほっ!みぞおちにっげほっ!」
「自業自得って言葉知ってる?名探偵」
「…けほっ…信じらんねぇ、今容赦なく狙っただろ…」
「容赦してたら意味ないじゃない」
「…けほっ」


さっとカーテンを開けると、外は雨。
天気まで私と一緒だとは…。


「…けほっ。名前さん雨がなんで降るか知ってますか?」
「は?なんで、って、そんな気候だから?」
「どんな気候だよ」
「…キミ今私をバカにした?」
「…雨って言うのはですね、」
「聞けおい」
「人が抱えきれない悲しみとかそういう感情を空が吸い上げて、その悲しみや痛みに我慢できなくなった空が泣くからなんですよ」
「…」
「吸い上げた人たちの希望の涙になって、空が泣くから雨が降るんです」
「…」
「だから雨が上がると空に希望という名の虹が架かるんですよ」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…驚いた。キミでもそういう話するんだね」


こんな話、可愛くないくらいのリアリストの工藤新一の口から聞くなんて思わなかった。
けど。


「オメーがこういう話好きそうだからしてやったんだろーが!」
「…」
「やっぱキャラじゃねーんだよ、俺は!」
「…」
「雨なんてほんとは太陽の熱で温まった海や川の水分が」
「空の涙の方が好き」
「…」
「苗字名前が聞いた名言集ベスト100にランクインしたね」
「またビミョーな70番台なんだろ、どーせ」
「いいや、ベスト10に入った」
「は!?マジで!?」
「…そんなに嬉しいか、少年」
「いやそうじゃ、あ、でもそうなんだけどなんつーか、」
「少し、雨の日の空が好きになったよ」


私の思いも全て吸い上げて、この雨が止む頃には私にも虹が架かればいい。
降り続く雨を見ながら、心が少し、楽になった気がした。

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bkm

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