Detective Conan


≫Clap ≫Top

stock-永遠の恋-


21


「工藤くん、味噌汁そっち持って行って」
「はいはい。…あと持ってくのは?」
「うーん、あ、ドレッシング冷蔵庫」
「リョーカイ」
「あー、あと服部くんの湯呑み茶碗出してあげて」
「はいはい」
「…お前らどこの新婚夫婦や?」
「…えっ!?」


大阪からはるばるやってきた色黒少年は、どうやら工藤くんの部屋で語り明かしていたらしく、翌朝若干目が充血し憔悴している2人とリビングで顔を合わせた。
…良かった、さっさと自分の部屋に引きあげて。


「バカなこと言ってるとご飯あげないよ」
「いやほんま夫婦みたいな会話やったで!」
「いらないんだね、キミ」
「ちょ、ほんまに片付けるヤツおるか!?」
「食事中くらい黙って食べな」
「喧しい姉ちゃんやなぁ」
「キミにだけは言われたくない言葉だよ」


全く、自分の親友ならこの喧しい少年止めなよ。
チラッと工藤くんを見たら、少し赤い顔で我関せずと味噌汁を飲んでいた。
…このヘタレがっ!
いちいち照れるな!


「じゃあ服部くん、今度こそお達者で」
「おー、姉ちゃんもな!」
「あ、工藤くん。私今日遅くなるからご飯1人で食べて」
「え?待ってますよ?」
「私今日ご飯食べてくるから、キミは1人で食べて」
「…始めからそう言ってください」
「じゃ、そういうことで解散」
「いってらっしゃい」
「いってきます」


今日は少し早い納涼会。
飲み放題、食べ放題で納涼するらしい。
もちろん割り勘負けしないよう、支払った会費分はがっつり飲み食いしていくつもりだ。


「ただいまー」


そんな気合いを入れたばっかりに、気付けば夜中の1時を回っていた。
6時から飲んで帰宅が1時。
まだまだ若いな、私。
でも明日希望休暇出してて良かった。
工藤くんはさすがにご就寝らしい。
そりゃそーだ。
あんな喧しい少年に寝ずにつきあっていたんだから。
私もシャワー浴びて寝よ。


「ふぅ…」


自分でもまだ少し酒の臭いがするけど、この程度なら二日酔いになることもない。
お水飲んで寝よ。
っと、


「工藤くん?」


キッチンに行ったら、真っ暗な中工藤くんが立っていた。


「なに、キミも水飲みに起きたの?」
「名前さん…」
「早く寝なよ?えーっと、私のお水、おみ」


冷蔵庫を開けて、冷えたお水を出そうとした。
ら、後ろから工藤くんが抱きついてきた。


「…」
「…」
「…」
「…キミまた震えてる?」


この前と同じ。
私を抱き締める手が、微かに震えている。


「またうなされた?」
「…すみません。少しでいいんで、こうさせてください」
「それは別にいいけど…」


この子のこれは、結構根深い。
なんていうか、ちょっと笑えない。
バカだなぁ、と我ながら思う。
また同じこと繰り返してる。
それでも、


「添い寝してあげようか?」
「…ぇ…」
「添い寝。いる?」


今のこの子を1人にはできなかった。
小さく頷いた工藤くんの手を引いて階段を上る。
私自分が思ってた以上に肉食なんだな…。


「キミの部屋がいい?私の部屋にする?」
「…名前さんの部屋」
「そ?じゃあこっち」


部屋も真っ暗で逆に良かった。
たぶん、今のこの子の顔を見たら、きっとずっと忘れることができない。


「どうぞ」
「はい」
「…ごめん、もう少し向こうに…ありがと」


工藤くんを先にベットの窓際側にやって、私もベットに入った。
工藤くんは、大きく息を吐きながらベットに横になり、顔を手で覆っていた。


「…大丈夫?」
「…」
「キミ、必要なら医者に」
「この間、」
「うん?」
「…夢を見た日はいつもは眠れなくなるけど、この間、名前さんがずっと手握っててくれたら、熟睡できたんです」
「…」
「また、手握ってもらっていいですか?」
「…いいよ」


まさかほんとにただの「添い寝」になるとは思いもしなかった。
いや、期待したわけじゃないけど。
…期待?
期待ってなんだ?
私、工藤くんとまたそうなること期待した?
いやほんとに期待してたわけじゃ…。
でも、肩透かしって思ったのは事実。
え、期待してた?


「名前さん、」
「えっ?」
「前も言ったけど、」
「うん」
「俺、名前さんといると素になれて楽」
「…」
「…でも、」
「うん?」
「それ以上に、名前さんといるとホッとする」
「…」


そう言って工藤くんから、規則正しい寝息が聞こえてきた。
私は…。
私、も。
ここにいるとホッとする。
それがたぶん、答え。
でも、ここで答えを出してはいけない。
何故いけないと思うのか、理由もたぶん、わかってる。
わかってる、というか、自分で気づかないフリしている。
ここがあまりに居心地がいいから。
…やっぱり部屋探さないとだな。
明日は休みだし、少し物件見て回ろう。

.

prev next


bkm

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -