Detective Conan


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stock-永遠の恋-


20


「キミ名前なんだっけ?」
「知っとるんちゃうんか!」
「いや名前までは…」
「失礼なやっちゃなぁ」
「…キミにだけは言われたくないわ」


西の高校生探偵の腕を掴み、工藤家に向かう。
んだけど、道中雨で、傘は1つで。
この喧しい少年と必要以上に密着してることが、なんというか、苦痛。


「そもそも姉ちゃんはなんで工藤と一緒に暮らしとるん?」
「…キミ名前は?」
「人に名前聞くんやったら、自分も名乗らんかい」
「…苗字名前」
「俺は服部平次、よろしゅう」


あんまりよろしくしたくないタイプだからそこは無視しよう。


「で、なんで工藤と暮らしとるん?」
「…成り行き?」
「どんな成り行きやねん!あの男が成り行きで女と暮らせるわけないやろ!」
「キミ叫ばずに話せないの?」
「だいたいいつからそんなことになっとんのや?」
「…私も人の話聞かないって言われるけど、キミには負けるわ」
「アイツほんましばいたらなあかん!」
「それはもう完敗って感じだよね」


今のこの噛み合わなさ加減を他人が見たらどう思うんだろ。
ほんとこの子とよくまぁ親友になれたもんだよ、工藤くん。


「あれ?いない?」
「なんや留守なんか?」
「おっかしいなぁ…。蘭ちゃんと出掛けたのかな?」
「……あかん、やっぱり電話も出ぇへん」
「うーん…。じゃ、まぁいないってことでお達者で」
「ちょお待たんかい!」
「え?」
「なに玄関閉めようとしとんねん!」
「え、だって工藤くんいないし」
「せやったら普通客を中に入れて待ってもらうやろ!?」
「でもここ私ん家じゃないし」
「姉ちゃんここに住んどんのやろ!?」
「…キミがほんとに工藤くんの親友か怪しいし?」
「親友や、言うとるやろ!」
「でも大家がいない時に一居候が勝手に上げるわけにはいかないでしょ。そういうわけで、お達者で」
「おい、こら待たんかいっ!」
「…服部?オメー何して」
「工藤ー!」


帰ってきたか。
ってことは、この喧しい少年を家に入れるのか…。


「お前どこ行っとんねん!」
「あ、いや、俺またこれから出かけ」
「え?工藤くん出かけるの?この少年も連れてってね、喧しいから」
「オメーを探しに行こうとしてたんだよ!何黙って出かけてんだよ!!」
「え?私?」
「そーだ!いつの間に出てったのか知らねぇけど携帯も持たねぇで何やってんだよっ!」
「…携帯持ち歩いたところでキミ番号知らないよね?」
「…え、」
「番号変えたの忘れたの?名探偵」
「…」


しまった!って顔で頭抱えてる工藤くん。
…事件現場以外は相変わらずポンコツだな、この子。


「ちょお、待ちぃ」
「なんだよ」
「工藤、お前この姉ちゃんとどういう関係や?」
「…えっ!?」
「人が元気にしとるんか心配しとったら、なんやえらい楽しそうやんか。楽しすぎて俺のこと忘れたんちゃうか?のぅ、コナンくん?」
「ばっ!おまっ!」
「コナン?て、毛利さんちにいた子?」
「なんや姉ちゃんもあのボウズのこと知っとるんか?」
「ああ、まぁ一応。」
「どんなボウズやった?」
「おい、服部!」
「どんな?…クソ生意気で無駄に賢いあのまま成長したら嫌みな存在間違いなしな私の子供にはなってほしくないミニチュア工藤くんて感じの少年?」
「…」
「…」
「なに?」
「…口の悪い姉ちゃんやなぁ」
「ありがと」


そう言えばあの子海外の両親のところ行ったって言ってたな。
なんて言うか目つきが小学生じゃなくて、意識的に避けたからな。
ああいう子が成長したら、高校生探偵って呼ばれる存在になるんだろうな。


「…で、服部、オメーはここで何してんだよ」
「何してんだよ、ちゃうわボケ!なんっかいも電話したやろ!!」
「いや、俺それどころじゃなかったし」
「それどころじゃない!?お前俺がわざっわざ電話しとったのにそれどころじゃない!?」
「あー、わりぃわりぃ!次からは出るから」
「ほんま友達甲斐のないヤツやなぁ」
「どうでもいいけど」
「なんです、名前さん?」
「キミどこに泊まるの?」
「どこて、ここに決まっとるやろ」
「え、迷惑」
「…ただの居候がエラソウに言いなや!」
「居候でもここに住んでる人間として、迷惑」
「一居候がさっきと言うとることだいぶ違うやんけ!」
「キミも違ってるから、人のせいだけじゃないでしょ」
「…なんやねんコイツ!お前なんでこないな女と暮らしとんねん!!」
「え、…成り行き?」
「何が成り行きや!そんなわけあるかー!!」


とにかく喧しい大阪色黒少年は、どうやら一泊するらしい。
さっさと部屋に入って関わらないでおこう。

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bkm

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