Detective Conan


≫Clap ≫Top

stock-永遠の恋-


18


「俺のことなんだと思ってるわけ?」


改めて聞かれると、非常に困る自分がいた。
私はこの子を、なんだと思っているんだろう。


「…結局」
「うん?」
「どんな形であれ、ああなれてバカみたいに喜んでた俺がマヌケだったってことか?」
「…え?」
「だってそうだろ!?学校から帰ってみたらポストに鍵入ってるは、部屋はもぬけの殻!あげくリビングには金置かれてオメーが俺買ったみてぇじゃねーか!!」
「いや、あのお金はお世話になった間の光熱費とかなだけであってそういうつもりじゃ」
「メモも何もなく金だけあった状況で誰がそう思うんだよっ!」
「私」
「…オメーは……」
「てゆうか」
「あ?」
「キミ蘭ちゃんは?」
「…はぁ?」
「蘭ちゃん。どうしたの?」
「…なんの話しだよ」
「いやだから蘭ちゃんの話。キミのところに行ったでしょ?」
「…いつ?」
「私がキミをいただいてしまった日の夕方」
「…来てねぇし、蘭なんか今さら関係ねーだろ」
「…来てない?」
「だいたいなんで今蘭が出てくんだよ」
「来てないってなんで?」
「知らねーよ。本堂と一緒だったんじゃねーか?」
「いや、だって蘭ちゃんは…」


なんで?
あの子だって、ホンドーくんと別れたって。
どうあっても工藤くんと比べてしまうから、別れたって言ってたのに。
私が気利かせて家あけたのに会いに行かなかったわけ?


「…手に負えんわ」
「…」


あの子ボタンの掛け違いを直す気ないわけ?
人のお膳立てをこうも無碍にしてくれるとはっ!


「それが本音?」
「は?」
「手に負えない。それがオメーの本音か?」
「キミなんの話してるの?」
「オメーの話してんだろーがっ!!」
「私の話?」
「俺を何だと思ってんのかって聞いてんだろっ!!」
「その前に話整理させてもらっていい?」
「…あいっかわらず人の話聞かねぇ女だなっ!」
「いや、キミと私に感情の行き違いがありすぎるみたいだから、まず最初から整理しときたい」
「感情の行き違いぃ?」
「キミさぁ」
「なんだよ?」
「私のこと好きだったわけ?」


この話題になってから10数分。
会話の内容からそれは明白なわけで。
それに気づかないほど鈍くもないし、愚かでもないつもりだ。
いやだけどさ、


「話振ったのは私だよ?」
「…」
「確かに私だけど」
「…」
「そこまで顔真っ赤にされると逆に対応に困るんだけど」
「ウルセェ!!」


工藤くんは推理オタクなだけあり、日焼けすることもなくキメの細かい白い肌の子。
その白い肌がそりゃーキレイに赤く染まってしまっていて。
…だからこの子童貞だったんだな。
ヘタレ過ぎる。
この状況でもまだその一言が言えないなんて、どこまでヘタレてるんだ。
だいたい元を正せば自分が聞いてきたんじゃないのか?
私に問い詰めるのはアリなのに、自分が問い詰められるのはナシなわけ?
チラッと見る工藤くんは今だ赤い顔で頭を抱えてた。
…私にどうしろと?
てゆうかそもそもこの構図、普通男女逆じゃね?
世間一般じゃ女が顔赤くして、オメー可愛いヤツだな、くらいに思った男がクラッとするんじゃないのか?
いや、確かに私のことでここまで顔を赤くしてくれる人間は他にいないだろうから?
可愛いは可愛いよ。
でもさぁ。
私だって世間一般の女なわけ。
可愛いと思うより思われたいんだけど、この感情の行き場はどうなる。
最近ため息ばっかりだ。


「米花町4丁目12-6、の、地下1階」
「え?」
「今の住所」
「…え、その辺りって商業施設ばっかじゃ…。てゆうか地下?」
「だからその商業施設の1つなんだって」
「は?」
「トイレ・シャワー完備、格安ご飯つき」
「…は?」
「まぁ…ちょっとタバコ臭いところや物音がするのはいただけないけど、それなりに快適だよ」
「…どこに住んでるって?」
「まんが喫茶」
「難民になってんじゃねーかよ!!」
「人結構いるし屋外に泊まるより安心」
「そーいう問題じゃねぇだろっ!…信じらんねぇ、なにそんなところで寝泊まりしてんだよ。せめてカプセルホテル使うとかだな」
「いや、カプセルホテルより安いし何よりまんがが読み放題」
「悠長にまんが読んでる場合じゃねぇだろっ!探せよ部屋っ!ないならうちに帰ってくりゃいいだろっ!!」


…こういうことは言えるんだな。
まぁ勢いでだろうけど。


「あ、おい!どこ行くんだよ!!」
「米花駅」
「なんで!?」
「コインロッカーからスーツケース出さなきゃだし」
「…またまんが喫茶行く気か?」
「え?今うちに来いって言ったのキミでしょ?」
「え、」
「まんが喫茶行った方がいいならそうするけど」
「い、いや!うちに来い!まんが喫茶よりは快適だ!」
「…ご飯ないけどね」
「…デパ地下の惣菜ならある」
「呆れた。キミまた作ってないの?自分で作りなよ」
「…わーってるよ」
「ほんとにわかってるとは思えないけどねぇ…」
「名前さん」
「うん?」
「名前さんが教えてくれんだろ?わかんねぇところは」
「…まぁ、キミが聞く気があるなら」
「…なら作る」


また少し赤くなった工藤くんを従え米花駅に向かう。
…正直この子が私につきまとうのは、手頃にまたヤれると思ってるからだと思ったんだけど。
女でもたまにいる。
一度ヤったらすっかりその気になる子。
特に処女に多い。
この子もハジメテがそれはそれは良かったんだろう、自分の家の居候ならいつでもヤリ放題だし?
なんて思ってたけど。
ここまで純情だとは思わなかったわ、工藤くん。
でもまぁ、それもいいかもね。
なんだかすごくキミらしい。
ま、何より今日からまたジャクジー復活だ。
それが1番嬉しいかもしれない。

.

prev next


bkm

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -