Detective Conan


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stock-永遠の恋-


16


「…キミさぁ」
「なんです?」
「ここどこだかわかってる?」
「殺人事件のあった部屋ですが?」
「…仕事しなよ、名探偵」


どんな状況になろうとも、仕事はしないといけないわけで。
そして私がどういう状況であろうと、殺人事件は起きるようで。
工藤家を出た翌日の夕方、上司から現場に急行と言われた先に、やっぱり高校生探偵は現れた。
いや、高校生探偵が現れるから行けって命令だったけど。
最初やんわりお断りしたら減給とどっちがいいと言われ泣く泣くやってきたわけだ。
この高校生探偵は私の思惑を知ってか知らずか、推理そっちのけでKeep outの向こうにいた私を事件現場の部屋の隅までわざわざ引っ張ってきた。


「オメー何勝手に出て行ってるわけ?」
「…キミ推理はどうしたの」
「しかも携帯も解約しやがっただろ」
「ほら、旦那さん殺されて奥さん泣いてるよ?」
「だいたいなんだよあの金。なんのつもりで金置いてったわけ?」
「奥さんのためにも早く事件解決してあげなって」
「あの奥さんが犯人だからいーんだよ!それよりオメー今どこ住んでんだよ?」
「はっ!?奥さんのあれ演技!?…女は怖いねぇ」
「人の話聞かねぇか!」
「いたあ!?」


この子何気に目蓋チョップ好きだよな。
目怪我したらどうしてくれんだ。


「工藤くん何してるんだい?」
「作戦会議中なんで警部はあちらで待っていてください」
「私は会議する作戦もないんだけど」
「俺はあんだよ。…オメー今どこいんの?」
「…キミさぁ」
「あ?」
「警部たち遊びに来てるんじゃないんだよ?」
「…」
「外のマスコミもみんなキミの推理待ち」
「…」
「推理もしないで立ち話してるって、彼らに申し訳ないとか思わないわけ?」
「…だったら」
「え?」
「オメーは俺に申し訳ないとか思わねーのかよ」
「思わない。私悪いことしてるとは思ってないし」
「…」
「はい、会議終了。警部!犯人わかったそうです」
「おお!ほんとか工藤くん!おい高木!関係者を集めろ!」
「はいっ!」


警察が慌ただしく動く。
今日の仕事が、終わろうとしてる。


「名前さん」
「え?」
「…終わったら話あっから逃げんなよ」
「…」


逃げるなと言われて、逃げないヤツはただのバカだと思う。


「いやー!工藤くん今日も助かったよ!」
「いえいえ。…高木刑事!」
「うん?どうかしたかい?工藤くん」
「…名前さん見ませんでした?」
「ああ、苗字さんならさっき走って出てったよ?」
「…あんニャロォ…。どっち行ったかわかります?」
「…さぁ?記事がどうの言ってたし職場に戻ったのかな?」
「職場ですね。ありがとうございます」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…行ったみたいですよ?」


高木刑事の後ろにある机の裏から顔を出すと、すでに事件関係者もいなくなり警察関係の人間がちらほらいるのみになっていた。


「まさかあの工藤くんが、そんな隠れ方にほんとに気づかないとは思いませんでしたよ」
「工藤くん、高木刑事のことはすごく信頼してるようなので」
「…僕そんな信頼されるようなことしたかなぁ?」
「したんじゃないですか?」


そうでもない限り、彼がここまで人を信頼したりしないだろ。


「ほんとに何があったんです?」
「え?」
「いつも飄々としている苗字さんらしからぬ行動ですよ」
「…時と場合によってキャラ使い分けてるんで」
「…そうかなぁ?前はむしろ工藤くんといることを楽しんでませんでした?」
「…LOUIS VUITTON表参道店」
「え、」
「…行ったらしいですねぇ?交通課の方と。佐藤刑事知ったら怒るんじゃないですか?」
「あ!あれはっ!さ、佐藤さんにあげるプレゼントどんなものがいいか由美さんに見てもらっていただけで」
「自分の恋人のプレゼントくらい自分で選びな」
「…スミマセン」


肩を落として去っていく高木刑事を見送り、私も部屋を出た。
そこまで長いことここにいたつもりはないけど、どうやらマスコミ関係は全てご帰宅されたようだ。
明日の一面も工藤くんが飾るんだろう。
それが工藤新一と言う人なのだから。


「撒いたはいいけど、さすがに連日マンガ喫茶はツラいわ…」


いくら安くても寝た気がしない。
いい加減物件見つけなきゃなんだけど、そういう時に限って条件に合うヤツがない。
今さら私が言うのもなんだけど、工藤家のジャグジーが恋しいわ…。


「身から出た錆だけどさ…」


本当に、工藤くんとしたことは後悔してない。
けど。
もう少し時と場合っていうか、大家と居候って立場考えてりゃ良かった。


「オッチャン、来たよ!」
「…姉ちゃん最近毎日顔出すけど、他に行くとこないのかよ」
「ないから来てんだよ。この屋台美味しいし」
「若いのに寂しい人生だなぁ〜」
「ほっといて」


いっそ旅に出ようかな。
あ、そうするとまた安定した住居から遠退くか。
…とりあえず今週中には住むとこ決めよう。

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