Detective Conan


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stock-永遠の恋-


10


「ただいま」
「おーぅ、お帰り」
「…たった1日でここまで我が物顔で居座れる住人も珍しいと思うんですけど…」
「順応性いいから、私」
「…」


仕事がお休みな本日コンビニでアイスを買って、部屋着で工藤家リビングで私サイズインチなテレビを見ながらくつろいでたらどこぞにお出かけの工藤新一が帰宅した。
つーか、皮のソファでアイス食べながら電動足マッサージ機に足突っ込める日が来るとは思いもしなかったわ!


「なに、デート?」
「…まぁ」
「は?マジで?蘭ちゃん?」
「…蘭だけが女じゃないって言ったの名前さんでしょ」
「いやそうだけど…」


驚いた。
いつの間にヨソの女とデートする気力まで復活してたんだ。
てっきりこの子のことだからホンドーくんから蘭ちゃん奪い取るんじゃないかと思ってたのに。


「つーか疲れるだけだった」
「…デートの感想がそれってサイテーの男だよ」
「いやマジで。何が嬉しいのかわっかんねーけど、きゃーきゃーいちいち騒ぐし煩い」
「…キミなんでその子と出かけたの」
「顔は好みだった」
「ロクデナシ」
「…あーあー、もう全部がいちいちめんどくせぇんだよ」


珍しく工藤新一がやさぐれていた。
そんなにダメだったのか、デート。


「まぁ次もあるって」
「ねぇよ。もうアイツとはでかけない」
「…次の子がいるって」
「それはいるだろうな」
「…1ついい?」
「なに?」
「世の女を代表して言わせてもらうけど」
「は?」
「死ね」
「…」


デートから帰って来た後の感想がこれって、それはナイわ。
久しぶりに工藤新一のモテない男街道突っ走りっぷりを見たな。


「だいたいいくつの子とでかけたの?」
「あー、1つ下の後輩」
「そりゃあきゃーきゃー騒ぐでしょ。そういう年頃だもん」
「うぜぇ」
「…キミ一生童貞なんじゃない?」
「…」


まぁ、この子の性格から女子高生女子高生した子はまず無理だとは思うけど。
なんていうかもっと、この裏表を全て知っても受け入れるくらいの寛容な子じゃないと無理だろ。


「名前さんは?」
「え?」
「しないんですか?デート」
「彼氏今ロンドンにいるし」
「はっ!?男いんの!?それほんとに男かよ!?」
「…」
「ばっ!冗談だろ!スプーンで目刺そうとすんじゃねーよ!!」
「…童貞のキミと違ってそれなりにおつきあいしてるって前言わなかった?」
「…でも今もおつきあいしてるってのは初耳」
「そう。今もおつきあいしてる」
「どんなヤツ?」
「え?」
「相手の男」
「童貞じゃない大人の男」
「…さっきからうるせぇんだよ!」
「え?何が?」
「…」
「あ、ちょっと人が食べてるんだから取らないでよ!」
「家から出もしねぇでテレビ見ながらこんなん食ってると太るぞ」
「家から出ても残念なデートしかできないガキに言われたくない。カツアゲしたアイス返しなさい」
「…」
「ちょ、それほんとに楽しみにしてたのに!」
「あー…一気に食べたら頭いてぇ…」
「…キミを今度から工藤ジャイアンって呼ぶわ」
「はぁ?」


ああ、さよなら、私の抹茶アイス…。
今日の楽しみが終わったわ。


「お、名前さん携帯鳴ってる」
「そんな気力ナイ」
「アイスくらいで根に持つんじゃねぇよ」
「キミねぇ、この蒸しあっつい中あせっだくでコンビニに行った私の頑張りを一瞬で奪ってそれ言う?」
「アイスくらいいいじゃねぇかよ」
「ただのアイスじゃなくて涼風堂の抹茶アイスでしょ!あのシリーズ駅前のコンビニにしか売ってないんだけど!」
「…後で買ってきてやっからそのうるせぇ電話出ろよ」
「倍返しで2つ以上買ってきなよ」
「はぁ?なんだよそれ」
「はい、もしもし」
「おいっ!」
「…え?や、それ冗談に決まって、…あ、ちょ、待っ…………」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…誰からです?」
「…ロンドンの元カレ」
「え?元カレ、って」
「たった今彼氏から元カレに降格しました」
「…」
「…」
「…」
「私家も無くすしなんか憑いてる?」
「…抹茶アイス買いに行きますか」
「そうね」


ムシムシと肌にこべりつく暑さが鬱陶しい中、工藤新一のおごりで抹茶アイスを買いに行った。

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bkm

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