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もしも初えっちをしたらside S前編


名前とつきあうよになってしばらく。
世間じゃ非公認ファンクラブがあるとかないとか騒がれる程度に人気ある俺も、蓋を開けりゃタダの健全な高校男児なわけで。


「ん…」


キスする度に俺の服にしがみついて必死に答えようとする姿を見てりゃ、我慢も限界になる、っつー話だ。
…てゆうか俺かなり我慢してきたはずだぜ?
毎日毎日一緒に帰宅、メシ食って勉強して名前の家に送ってく。
その間約4〜5時間2人っきり!
それを毎日繰り返してんのに、むしろ今まで無理矢理ヤらなかった俺の忍耐強さを誉めてほしいもんだ。
…だってコイツ、つきあう前も手繋いだりキスもしちまったことあんのに、「恋人」として手繋ぐようになったりキスするようになったらイチイチ照れて顔赤くしてるし!
あんま急がねぇ方がいーんじゃねぇか、って思わせるような顔するし!
…まぁあのはにかんだ顔、嫌いじゃねぇからいいんだけど。
そんなんで今までずーっと所謂「おあずけ」状態だったわけだし?
そろそろいいんじゃねぇ?


ドサッ


「く、工藤くん工藤くん!」


なんて思ってソファに押し倒したら、案の定声裏返して聞いてきた。


「な、何なさるおつもりっ!?」


sexするつもりだけど?って、


「言った方がいいのか?」
「言わないでっ!やっぱり言わないでっ!」


すでに涙目で顔が赤い名前を見下ろす。
こーなること、わかってたから今まで我慢してたんじゃねぇか!
…がっつきすぎて嫌われたくねぇし。
でももう我慢の限界。


「く、工藤くん、工藤くんっ!ど、どちらかと言うとここではあんまりっ…!」
「…ああ、それもそうだな」


このソファ、何気に小せぇから俺が横になるとはみ出るんだよな。
そう思ってベットに場所を変えた。


「オメーさぁ、」
「な、なに!?」
「ちゃんと食ってっか?」
「え!?い、一緒に食べてるじゃん!」
「いや、夕方だけじゃなく朝と昼」
「た、食べてるよ!?」
「…の、わりに、相変わらず小せぇけどな」


夕飯だけだったとしても同じもん食ってんのに、なんでコイツ出逢った時から全く成長しねぇんだよ…。
…いや、ずいぶんと立派に成長した部分もあるけど。
それをこれから拝ませてもらうけど。


「名前…」


首筋に顔を寄せると、甘い甘い、匂いがする。
…これで誘ってねぇとかあり得ねぇだろ。


「名前」


自分でも吐息が熱を帯びてきたような、そんな感じがした。
ああ、俺、女を誘う時はこういう声になんだな、なんて、妙に頭の一部が冷静になっていた。


「く、工藤くん!」
「うん?」
「左手がおかしい!」
「え?俺踏んだ?」


…何が冷静だ、おい。
手踏んでたこと気づいてねぇじゃねぇか!
少し落ち着け俺…!


「大丈夫か?」


…コイツ手も小せぇよな。
こうやってまじまじ見ると大人と子供の手くらい違う。


「痛ぇ?」


小せぇだけじゃなく、手首なんか細くて力入れて握ったら折ることも可能なんじゃねぇの?ってくらいだ。
コイツのサイズからしたら当たり前な細さなのかもしれねぇけど、骨格の太さとか。
やっぱり「男」の俺とは違う。
「女」なんだよな…。


「名前」


首筋から匂いたつ、くらくらする香り。
名前はお香が好きで、よく焚いてて(好きが高じて俺の部屋にもお香セットを用意してるし!)香水は使ってないって言ってたが、すっげぇ良い匂いがする。
例えるなら「雄」を誘う「雌」の匂いなんじゃないかと思う。
そんなこと考えながら服を捲りあげる。
水着姿は何度も見たことあったけど、下着となると話は別。
淡いピンクのレースの下着がすげぇ「らしい」と思えて、それが体の芯に熱を与えた気がした。
下着越しに何度か触ってみる。
…うん。
デカイデカイとは思ってたけど、なんというか…立派なもんだ。


「…そうやってっと顔見えねぇんだけど」
「ヤメテ!」


少し体を上げてみたら、両手で顔を隠してる名前がいた。
その手の隙間から見える顔が、なんというか人間てこんなに赤くなれんだな、ってくらい赤かった。


「く、工藤くんは平気かもしれないけどっ、私恥ずかしくて死んじゃうっ!!」


…俺がなんだって?


「オメーさぁ、」
「…」
「自分1人だけ緊張してるとか思うなよ?」
「…え?」
「ほら」


自分でも顔が熱いのがわかるし、手もなんか汗ばんでる気するし?
何より鼓動が早いのがその証拠!
間違いなく俺も緊張してるってーの!


「すごい音早いよ!?ポクポク言ってる!」
「ポクポクって…まぁいーけど。…心音早くて当たり前だろ?」
「え?」
「…好きな女に初めて触れるんだから、俺だって緊張してるっつーの!」


そう言った俺を名前は何度か目を瞬かせて見た。


「な、なんか…」
「あん?」
「く、工藤くんて人妻と百戦錬磨なイメー痛いっ!」


気がついたらいつものように手が出ていた。
いつものように額を押さえる名前の顔だけ、いつもと違って赤かった。


「あのなぁ、」
「なに!?」
「…オメーはどうか知らねぇけど、俺は中学の時からずっと、手かかる1人の女しか見えてねーんだよ!人妻と遊んでる暇なんかねぇだろ!」
「……そ、それって私のこいひゃいいひゃいいひゃい!」
「他に誰がいんのか聞かせてもらえるか?」
「い、いにゃいれひゅ」


工藤くん、そんなに前から私らぶ!?とか抜かしやがったこの女っ!!
だから言いたくなかったんだ!


「とにかく!」
「うん?」
「…俺だって緊張してるし!…でも、」
「で、でも?」
「それ以上にオメーに触れたいし、オメーを知りたい」


顔が赤いとはよく聞くが、人って極度に緊張すると全身赤くなるものなんだな…。
組み敷いた名前の顔の赤さと、いつもよりも少し高い体温を感じながら、もう1度口づけた。

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bkm

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