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80万打企画


刻印


「名前…。」


私がどうでも良いことを考えている間も、私の上に跨がってるリヴァイさんの顔は近づいてきて。


「ち、ちょっ、」
「…なんだ?」
「い、」
「あ?」
「1年、が、どう、とか、って、」


思わず声をあげると、私のお腹のあたりに来ていた手をピタリ、と止めてリヴァイさんが口を開いた。


「あれはもう忘れろ。」
「え?」
「その必要なくなった。」
「そ、」


それは私の意見を聞かれることなく決まることなんですか?
なんて思っても、


「そう、なん、です、ね…。」


口から出た言葉は、全く違うものだった…。


「ウォール・シーナには連れてってやる。」


そう言いながらリヴァイさんは私の顔にクチビルを落とす。


「…それとは別に、ほしいものを考えておけ。」


リヴァイさんは何度かキスした後で、ベロリ、と私のクチビルを舐め上げて顔を離した。


「名前。」
「は、い?」
「舌出せ。」
「し、した?」


上ずった声を出した私に、ほら、とでも言うように、リヴァイさんは自分の口を開けて舌先をチラッと見せてきた。
それを見て一瞬躊躇ったものの、リヴァイさんから目を逸らし、少し口を開けて、チロッと舌先を出した。
瞬間、


「んっ!?」


「吸い付く」と言う言葉がピッタリくるような勢いで、リヴァイさんは私の舌を吸い上げた。
驚いて舌を引っ込めようとしても、吸い上げ絡められた舌はなかなか離れない。


「…ふっ…ん…」


リヴァイさんの舌が、私の口の中に入ってきて、歯茎を舐め上げていく。
…こういう時に、どこに手を持って行けばいいのかわからない私は、ただひたすらに自分の胸元をギュッ、ときつく握り締めていた。


「…はっ…んっ、」


なんだか窒息しそうで、すぅ、と息を体内に入れようと口を開けると、そこからまた、角度を変えて口付けられる。
その時、リヴァイさんが私のお腹あたりを摩っていた手で、服を捲り上げようとしているのがわかった。
それに対して、決して悪気と言うものがあったわけじゃないけど、現在胸元で手を握り締めている私は、捲り上げられてたまるか、みたいな勢いで胸元をがっつりと押さえ込んだ。


「……………」
「……………」


少し体を起こして服を捲くろうとしているリヴァイさんと、リヴァイさんから目を逸らして必死に腕の力を籠める私の間に無言の攻防が続いた。
…けど、


「おい。」


明らかにイラッとした声を出したリヴァイさんによってその攻防はあっけなく終わりを告げた。


「名前。」
「む、」
「あ?」
「…胸、が、ない、ので、」


見ないでください、と、までは、さすがに言えなかった。


「安心しろ。」
「え?」
「俺よりはある。」
「そっ、」


そう言う問題じゃ、ないですよ、ね?とは思っても、


「そう、です、よ、ね…。」


としか言えない私。
……………嬉しくない。
男の人と比べて胸があるから安心しろなんて言われても、全く嬉しくない。
なんて思っている私を知ってか知らずか、リヴァイさんは体を起こし、


「別に、」
「え?」
「他の誰が見るわけでもねぇし。」


しゅるり、と巻いていたスカーフを緩めを床に投げ捨てた。
そのまま鼻と鼻がくっつくくらいの距離までリヴァイさんは顔を近づける。


「俺にはちょうどいいサイズだ。」


胸がない、と言うことを気にしている私に対してのこの言い方が、あまりにもリヴァイさんらしくて…。
少し、クチビルを噛みながら、リヴァイさんの服を掴んだ。


「名前…。」


まるでそれが合図だとでも言うように、リヴァイさんは1度私の口にクチビルを落とし、首筋に顔を埋めた。


「…っ…」


服を捲くり上げられ、スーッ、と外気に触れたかと思うとすぐに少し骨ばった手が私の胸を包み込んだ。
あぁ、もう何コレ何コレ、としか表現のしようがないくらい頭がパニックに陥っていて。
その間もリヴァイさんの手は忙しなく私の胸を弄り、服を脱がし、と動いていた。


「…っ、」


何をどう思ったのか、自分でもわからないけど…。
ただなんとなく、リヴァイさんから与えられる刺激に、奥歯を噛んで、声が漏れるのを堪えていた。
そんな私をよそに、相変わらずリヴァイさんの手は忙しなく動く。
お尻側から、ショーツとズボンの間に手を入れたと思ったら、あっという間にズボンを引き下ろされ、リヴァイさんはショーツ越しに指を動かし始めた。


「…ヤメッ、」


そのことで思わず出た声に、リヴァイさんが手を止めた。


「『ヤメ』」
「え?」
「…『テ』ほしいのか?それとも『ヤメナイデ』ほしいのか?」


リヴァイさんの顔を正視することなんて出来ない私は、さっきからずっと顔を逸らしていた。
だからリヴァイさんがどんな表情で言っているのかわからない。
ただリヴァイさんの声色は、どこか楽しそうな色を孕んでいる気がした。


「どっちだ?名前。」


リヴァイさんは、ショーツ1枚になった私の下半身を軽く持ち上げ、足を開脚させた。


「お前が望む方をしてやるぜ?」
「っ、」


リヴァイさんはそう言うと両手を私の肩あたりに持ってきて、私の髪を梳きはじめた。
先ほど少し指で触れた部分に、自分の下半身を押し当てながら…。
やめ「て」ほしい?
やめ「ないで」ほしい?
そんなこと…。


「言えないか?」
「…」
「ならずっとこのままだ。」
「っ、」


ピン、とリヴァイさんは指先で私の乳首を弾いた。
それと同時にグリッ、とショーツ越しにリヴァイさんの下半身を感じる。
それは例え私が初めてであったとしても、どういう意味なのか、わかる。


「…っ…」


硬く感じるリヴァイさんのそれはグリグリっと、押しあてられ、擦れ、ショーツ越しに余計私を刺激しているような、そんな感覚に陥った。


「どうせ今の今まで待ってやったんだ。」
「…っ、」
「俺はどっちでも構わん。」
「…あっ、」


ベロリ、と首筋に舌を這わせるリヴァイさん。
それに反応して思わず声が漏れた。
自分で自分のその声に驚いて、咄嗟に指を噛むように口に持ってきた。


「どうする?名前。」


耳の形に沿って舐め上げるリヴァイさん。
…体が火照る。
心が沸騰するみたいだ。
緊張から?羞恥から?それはわからない。
けど、リヴァイさんを見つめることが出来ないまま、私の視界がみるみる滲んでいっているのはわかった。


「…………悪か」
「…いで…」


リヴァイさんが、私の目尻を指先で拭ったのとほぼ同時だった。


「ヤメ、『ナイ、デ』」
「…………」


私が発した言葉に、滲んだ視界の先で、リヴァイさんが目を見開いたのがわかった。


「…了解だ。」


ランプの灯だけの部屋で、リヴァイさんが妖艶に微笑んだ気がした。

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