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70万打企画


wedding night


side H
「…っ…うっ、」


新ちゃんにしていたこと、快斗くんにもするって言うのはなんだか変な感じだ。
それでもチラリ、と覗き見た快斗くんの顔がどこか苦しそうに、切なそうに歪んだところを見てどきり、とした。


「ちょ、まっ、」
「ふぇ?」


いつもの感じにサンドバイエルンといそいそと動いていたら、快斗くんが私の肩をぐっ、と押し体を退くように逸らした。


「も、無理…」


それだけ言われて、どさっ、と体をベッドの上に倒された。


side K
好きな体位はどれかと聞かれたら、迷うことなくバックと答えるだろう。
クリトリス触りながらバックで突くと他の体位よりも格段に締まりが良くなるってのは、もちろんある。
だがそれだけじゃなく…。
バックってのは、抱いた女の顔を見ずにイくことができる体位。
それはつまり、「抱けない女」を頭で思い浮かべながらヤッていたからなんじゃないかと今にして思う。


「も、無理…」
「ん…。かい、と、くん…」


他のどんな体位でもなく。
まして顔が見えない後背位ではなく。


「もっと舌出して、」
「ん…ふっ…」


キスしながら正常位でやろう、なんて。
自分でもどうかしてると思う。
だけど…。


「あっ、かいっ、と、あぁっ!」
「っ、うっ、…あっ、…はぁ、はぁ、」


何を考えていたわけでもなく、自然とこの体位で「その瞬間」の顔を見て果てた。


side H
にゃーにゃーの後、快斗くんに腕枕されながらピロートーク、って言うものをしていたはずなのに気がついたら寝ていた私。
ツンッ、と、髪が引っ張られるような感覚で目が覚めた。


「…かいと、くん?」


ぼんやりと開けた目の先で、サザンクロスが揺れていた。


「…起こしちまったか?」


そう言って快斗くんは困ったように笑った。


「んー…。かいとくんは?」
「うん?」
「ねないの?」


うとうとと、瞼がくっつきそうになる。


「…だってもったいねーじゃん」


そう言いながらも、快斗くんは私の髪をいじっていた。


「もったいない?」


うっすらと目を開けたらやっぱり苦笑いの快斗くんが映った。


「んー…」
「かいとくん?」
「…寝ちまったら、この夢が覚めちまいそうだろ?」


その言葉に、今度ははっきりと、サザンクロスの瞳が目に飛び込んできた。
快斗くんは、目を細めながら、ずっと私の髪をいじっていた。


「夢?」
「え?」
「夢なの?」
「あぁ…。だって俺今、夢みてーに幸せだもん。寝たらその夢が終わりそうじゃん?」


そう言ったサザンクロスの瞳は、私を写していなかった。


「それって、」
「うん?」
「快斗くんはこの先ずっと寝ないつもり、ってこと?」
「え?」


私の言葉に驚いたような声を出した快斗くん。


「だってこの生活はこれからずっと続くけど、快斗くんずっと寝ないの?」


それを聞いた快斗くんは、あんぐりと(本当に「あんぐり」って言葉がぴったりなほど!)口を開けていた。


side K
ずっと抱くことなんて出来ないと思っていた女。
それを無理矢理連れ去り、自分の思うように抱いて傷つけた女。
その女と、こんな穏やかな時間が流れるなんて、思いもしなかった。
なのに…。


「快斗くんはこの先ずっと寝ないつもり、ってこと?」


この子は…。


「だってこの生活はこれからずっと続くけど、快斗くんずっと寝ないの?」


いとも簡単に、俺の汚い感情も含めた全てを払拭する。


side H
「……はっ」


快斗くんは、私に腕枕していない方の手を顔に回し、短く笑った。


「快斗くん?」
「……………」


私の言葉に答えない快斗くん。
顔に当てた手で、その表情が見えなくなっていた。


「ねぇ、どうし、」
「てくれ」
「え?」
「もう本当にやめてくれよ」


快斗くんは、どこか震えたような声で、まるで搾り出すように言った。


「快斗く、っ!?」


快斗くんの顔を覆っていた手を退かすと、サザンクロスの瞳を赤くした快斗くんがいた。


「どっ、どうしっ、」
「あー、もうっ!!」


そう叫んで快斗くんは私に背を向ける。


「ほんとは涙もろいってバレたじゃねーか!勘弁してくれよ!」


言葉こそ、怒ってるいるものの、だってそれって…。


「ふ、」
「え?」
「ふへへへへっ」


背を向けてる快斗くんの顔を覗きこむと、やっぱりほっぺも赤くて。


「快斗くん可愛いー!」
「やめてくれ!」


そう言う快斗くんを後ろから抱きしめたら、胸のあたりに回した私の手を快斗くんは優しく握り締め、そのまま2人眠りについた。

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bkm

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